「逆境に強い人」と「逆境に弱い人」の決定的な違い ストレスフルな現代を生きるヒント「首尾一貫感覚」
そうすると、〝自分中心〞のものの見方から、人生全体から自分自身を見つめられるようになり、目の前の問題に対して、人生がどのような意味を与えているかがわかってきます。直面する悩みに対して、このような「意味づけ」ができるようになると、解決の方向性が見えてきます。
結果的にクライアント先のその職員は、定年退職で職場を去りました。しかし、去る間際に「私は職場でも家庭でも人間関係を軽んじていたかもしれない。退職を機にじっくり考えてみる必要がありそうだ」という言葉がありました。これは、職場の課題を人生からの問いとしてとらえ、意味づけしようとしていたと考えられます。
逆境に強い心を持つにはどうしたらいいのか
全3回の連載を通じて筆者がよく受ける相談内容をもとに、首尾一貫感覚とフランクル心理学(フランクル氏の基本的な思想やロゴセラピーの総称)のエッセンスを使いながら、逆境に強い心を持つにはどうしたらいいのか考えていきます。両者の大きな共通点は、どんなに時間がかかっても、過酷な体験を人生の糧にしようとすることです。
首尾一貫感覚は先天的なものではなく、後天的に高められるものです。だからこそ誰にとっても、それを身につけることによって、苦難に直面したときの大きな力を得ることができるのです。ストレスフルな時代に生きるみなさんが、前向きに生き抜いた人々が持っていた究極の「生きるヒント」を身につけ、少しでも逆境に強くなっていくことを願います。
※2 アーロン・アントノフスキー著『健康の謎を解く―ストレス対処と健康保持のメカニズム』山崎喜比古・吉井清子監訳、有信堂高文社、23頁
※3 諸富祥彦著『フランクル心理学入門―どんな時も人生には意味がある』角川ソフィア文庫、230頁
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