「逆境に強い人」と「逆境に弱い人」の決定的な違い ストレスフルな現代を生きるヒント「首尾一貫感覚」
人生の壁に直面したとき、傷つきながらも乗り越えて成長していける人と、壁を前に失望し続ける人がいます。私は、これまでのカウンセリングや研究から、両者の違いは首尾一貫感覚の高さの違いからきていると確信しています。逆境に強い人は、ほぼ例外なく首尾一貫感覚が高い人たちです。
首尾一貫感覚を構成する3つの感覚
首尾一貫感覚は心理学や健康社会学領域の研究者の間では広く知られている概念で、別名「ストレス対処力」や「健康に生きる力」などと呼ばれています。この感覚は大きく3つの感覚から構成され、大雑把にまとめると次のようになります(※1)。
◎把握可能感(だいたいわかった)——自分の置かれている状況や今後の展開を把握できると思うこと
◎処理可能感(なんとかなる)——自分に降りかかるストレスや障害に対処できると思うこと
◎有意味感(どんなことにも意味がある)——自分の人生や自身に起こることにはすべて意味があると思うこと
人が過剰なストレスに苛まれているときは、この3つの感覚が低くなっていることが多いと考えられます。
首尾一貫感覚を構成する3つの感覚は、それぞれがバラバラに存在しているわけではなく、互いを補完し合うようにつながっています。たとえば、「把握可能感」が高くて「今、起きていることや将来のことはだいたい自分で把握できている」と思えることができれば、「(把握できている範囲で)なんとかなるだろう」という「処理可能感」を持つことができます。
また、「自分自身に起こる出来事はどんなことにも意味がある」という「有意味感」を生み出す価値観や考え方、アイデンティティなどは、「処理可能感」を高めるための要素になります。
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