京都行楽シーズン、客殺到で交通パンクの憂うつ 地元民が怒り、一部タクシーのマナーの悪さも

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京都駅から車で10分ほどと比較的中心地に近い観光地である三十三間堂には、客待ちのタクシーが列をなしていた。そこからタクシーを利用しようとしていた50代のアメリカ人男性は、京都での移動についてこう嘆いていた。

「路線がややこしい市バスを観光客が理解するのは困難だし、電車で移動できない地域ではタクシーに頼るしかない。ただ、日本のタクシーは高すぎるよ。京都は観光するには本当に素晴らしい場所だが、移動手段ということを考えるとクレイジーな場所でもあるね」

京都 三十三間堂 観光公害 オーバーツーリズム
三十三間堂周辺で列をなすタクシー(筆者撮影)

ドライバーの採用に苦戦

それでもタクシー不足は大手社でも抜本的な解決策が見つかっておらず、今後もしばらくこの状況が続きそうだという見通しが強い。京都を代表するタクシー会社である、「MKタクシー」は、業界のなかでも新卒採用に特に力を入れていることでも知られている。直近の2年間では80名を超える新卒採用を行っている(数字はリクナビ調べ)。同社の広報担当者が、人材確保の難しさについてこう語る。

「ご多分に漏れず、当社でもコロナ禍で1割から2割弱のドライバーが離職しました。個々のドライバーの売り上げは上昇傾向にありますが、稼働台数が確保できないため全体の売り上げは伸び悩んでいます。正直、求人募集をかけても人が集まりにくい状況ではありますね」

一方で、タクシー以外の部門では、明確な傾向が見え始めているとも続けた。

「当社の場合、配車アプリの『Uber』を導入しているのですが、利用数は伸び続けており、その多くが欧米からの観光客の方です。そういった背景もあり、観光ドライバーの需要や募集者は明らかな増加傾向にありますね。当社の海外研修を利用して観光に特化したドライバーを目指したいというハイヤー部門には、若い世代の希望者が増えています」

京都の観光シーズンは、紅葉の時期と重なる10月から11月にかけて本格化する。慢性的なタクシードライバー不足に陥っている現状が今後も続けば、観光客や地元民を悩ませることになりそうだ。

栗田 シメイ ノンフィクションライター

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くりた しめい / Shimei Kurita

1987年生まれ。広告代理店勤務などを経てフリーランスに。スポーツや経済、事件、海外情勢などを幅広く取材する。『Number』『Sportiva』といった総合スポーツ誌、野球、サッカーなど専門誌のほか、各週刊誌、ビジネス誌を中心に寄稿。著書に『コロナ禍の生き抜く タクシー業界サバイバル』。『甲子園を目指せ! 進学校野球部の飽くなき挑戦』など、構成本も多数。南米・欧州・アジア・中東など世界30カ国以上で取材を重ねている。連絡はkurioka0829@gmail.comまで。

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