そこで彼は、こう考えました。
「普通に受けたらかなり難しい点数で、今の自分の力でほかの受験生との間にある30~40点の差を逆転できるか必死に考えました。親にお金を出してもらっているから、期待値が釣り合わないことはしたくなかったんです。結局、自分でこの1年の取り組みを考えた末に、勝負できると思って勇気を出して出願したんです」
こうして挑んだ大阪大学の試験。例年に比べて全体的に易しめだったため、受験者の平均点が高くなって逆転できないかもしれないという危機感を抱きながらも、いちばん苦手だった英語でいい出来だったためチャンスがあると思ったそうです。
そして迎えた合格発表の日、1浪ででんがんさんは大阪大学基礎工学部に合格しました。
「嬉しいというよりは安堵でした。親に払わせるお金が少なくて済むからよかったなって感じです。僕はこの1年、世界でいちばん勉強したと思うほどやり抜きました。現役で大阪市立大学に200点も足りなかった人間が阪大に受かったんで、自分がやってきたことは間違ってなかったなと思えましたね」
やればやるほど成長できた
こうして密度の濃い1年を戦い抜いたでんがんさん。浪人してよかったことを尋ねてみると、「人間はほぼすべてのことで成長できると思った」と、頑張れた理由に関しても「やればやるほど成長すると思えたから」と語ってくれました。
「僕は勉強が好きじゃなかったんですが、浪人を通して『物事を突き詰められる』って感覚が手に入ったのが大きかったと思います。今でもしんどいことや結果が出ないことと、どう向き合って、何をやるべきかを考えるときは、当時の経験が現在につながっていると思います。『できなかったこと』が『できること』に変わったことで自信になったから、この年になってできないことにぶつかっても、成長できると思えるようになったんです」
そして、浪人の1年間で大きく変わったのは、「自分の脳みそで何ができるかを考えられるようになった」ことだと言います。でんがんさんはこのときの経験を生かそうと、YouTubeチャンネルを開設しました。
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