人に伝えるのが「上手い人」「下手な人」の決定的差 わかりやすく伝えるために行いたい「準備」とは

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伝えたいことがうまく伝わらない文章を書いてしまう最大の原因は、「伝えるべきことをひとことでいえない」ことにあるのです(写真:Taka/PIXTA)
何かを伝えるとき、長文メールになって「結局、何が言いたいかわからない」と言われる。話していても、いろいろ情報を詰め込みすぎて、うまく伝わらない。場面に応じて、「伝え方」を工夫しているのにうまくいかない。
それは「伝わる」メカニズムを知らないだけです。
多くの人が誤解しているコミュニケーションの仕組みを理解すれば、結果は大きく変わります。そのような「伝え方の原則」をまとめたのが、松永光弘氏の新刊『伝え方——伝えたいことを、伝えてはいけない。』です。
著者の編集家である松永氏は、これまでクリエイティブディレクターの水野学氏、放送作家の小山薫堂氏など、日本を代表するクリエイターたちの書籍を企画・編集。その後企業ブランディングなど、さまざまなコミュニケーションをサポートしており、顧問編集者の先駆的存在として知られています。
その経験から松永氏が気づいたのは、文章もお話もデザインも「伝え方の原則」は同じということでした。本記事では、同書から抜粋し、伝え方の重要なポイントをご紹介します。

“はっきり”伝えられますか?

「伝えるべきことをひとことでいうと、なんですか?」

文章を見てほしいと言われて原稿などを受けとったとき、ぼくはかならず書いた人にこう尋ねることにしています。文章を書くからには、なにかしら「伝えるべきこと」があるはず。それを「ひとこと」でいうとなんなのか、と。この問いかけに対する反応は、人によってさまざまです。

昔のことを思い出すように空の一点を見つめながら“あらすじ”を手短に話そうとする人もいれば、そこで紹介しようとしているものの特徴を抜粋して語る人もいます。

ただ、「伝えるべきこと」をきちんと「ひとこと」で答えられる人はそう多くはいません。

なぜ、答えられないのか──。ぼくはここにこそ「伝える」という営みを考えるうえで、もっとも大事なカギがあると考えています。

伝わる文章(人に納得してもらったり、共感されたりするような文章)にならない最大の原因は、じつは「伝えるべきことをひとことでいえない」ことにあるのです。

文章というと、構成や言葉づかいに工夫を施す「書き方のうまさ」で伝わるかどうかが決まるかのように思われがちです。言葉づかいが巧みでないから、構成に工夫がないから、自分の文章は説得力がないんだ、伝わらないんだと思いこんでいる人は少なくありません。

でも、まず重視しなくてはいけないのは、本当はそこではありません。

誤解のないようにつけ加えますが、もちろん「書き方のうまさ」は文章にとってすごく大切な要素のひとつです。ただ、「伝える」ことにとって、「うまさ」がもっとも重要な課題かというと、そうとはいえないのです。

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