デキる人がこっそり使う「心に響く話し方」3技術

データもロジックも「これ」がなければ効果半減

データとロジックに基づく完璧なプレゼンも、相手の「心」に響かなければ、結局人は動きません(画像:mits/PIXTA)
「社会人になってから長い間『暗黒時代』が続きました。そこから抜け出せたのは、『生きる知恵としてのマーケティング』のおかげです」
数々のグローバル企業でマーケターとして活躍している井上大輔氏は、自らの経験を振り返って語る。
「マーケティングのエッセンスを『生きる知恵』として人生に活かせば、仕事・キャリア・プライベートのすべてで『求められる人』になれると気づいたんです」
そんな「生きる知恵」を解説する書籍『マーケターのように生きろ:「あなたが必要だ」と言われ続ける人の思考と行動』を上梓した井上氏に、マーケティングの英知からわかる、「人を動かす話し方」を解説してもらった。

私を「心の底から」奮い立たせた上司のスピーチ

「私の母親は貧しいお手伝いさんでした」

本社から来日した副社長は、日本支社のメンバーに向けたスピーチでそう語り始めました。私が外資系の航空会社に勤めていたころの話です。震災の翌年で、日本市場はまだ旅行需要の落ち込みから抜け出せないでいました。その対策を議論すべく日本を訪れたのです。副社長は続けます。

『マーケターのように生きろ』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

「私が子どものころ、特にうちのような貧しい家庭には、海外旅行など夢のまた夢でした。母親は、世界の美しい景色を集めた写真集を持っていて、それをいつも大事に眺めていました。そんな母親にとって、まさに見果てぬ夢だったのが、日本を訪れることでした」

「日本には春になると満開になる桜という花がある。4月のたった1週間の間だけ、日本中に広がるこの魔法のような光景を、一度でいいから実際に見てみたい。そんな母親の夢を、私はついに叶えてあげることができませんでした。しかし今、私は日本にいて、少し枯れかけた、それでもなお魔法のように美しい桜を窓の外に眺めています」

みんなが副社長の視線の先を見やります。

「ここは母親の夢の国です。だから私にとっても夢の国。それは何度訪れても変わりません。だから、そんな私にとって特別な日本を、再び若者のように元気に(rejuvenate)したい。どうすればいいか、みんなの知恵を貸してくれませんか」

この話を聞いて、私は大いに奮起しました。

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