悲しい現実「目立つ奴ほど昇進する」の深い意味 「自己アピール上手の実力者」が山ほどいる世界
仕事ができ、責任感も強い。でも昇進できない先輩
社会人になって間もないころ、大好きな先輩がいました。
仕事ができるばかりではなく、優しくて後輩の面倒見が良い人でした。何よりとても責任感が強く、誰も見ていないところでも、決して妥協せず自分自身の基準で仕事を突き詰める職人肌。でも、どこかシャイで声が小さい。人どころか鬼すら傷つけない「煉獄杏寿郎」(『鬼滅の刃』の登場人物)のようなイメージです。
このソフトな煉獄さんが、私のミスをかばってくれて、2人で深夜まで作業した結果、終電を逃したことがありました。原宿のファミレスで、ドリンクバーを何杯もおかわりし時間を潰しながら、私はソフト煉獄さんを評価しない会社に文句を言い募っていました。
こんなに仕事ができ、責任感が強く後輩からも慕われているのに、煉獄さんは直近の人事で、同じくらい仕事ができる先輩、煉獄さんにとっては年下の後輩に昇進で追い抜かれてしまっていたのです。パンケーキにもコーヒーにも手をつけず、子どもを見る父親のような目でただじっと話を聞いていてくれた煉獄さんは、私の話が途切れるとこう言いました。
「じゃあ井上君が偉くなって、俺を引っ張ってよ」
こんなに完璧な人が昇進できないのなら、偉くなるには一体どうしたらいいんだろう。そのときの私は答えを持っておらず、徹夜仕事の疲れも手伝って、ただただ思考停止に陥ってしまいました。
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