悲しい現実「目立つ奴ほど昇進する」の深い意味

「自己アピール上手の実力者」が山ほどいる世界

下に引用するのは、「経営の神様」と呼ばれた松下幸之助さんの言葉です。

われわれ商人・産業人には「この商品をあなたがお使いになれば、便利で利益になりますよ」ということを消費者にお知らせする義務がある。その義務を果たすために「宣伝」をするのだ。知らせる価値のあるものをつくって、初めて宣伝の必要が出てくる。宣伝もできないようなものなら、製造をやめねばならん。
出所:「パナソニック『広告宣伝は義務』創業から貫く深いワケ」(AERA dot)

ここにわかりやすく指摘されているとおり、たとえ良い商品=日本酒をつくっても、その存在を広く伝えなければ、多くの人はそれを味わう機会に恵まれません。最終的にその日本酒で多くの人を幸せにしたいのであれば、つくることのみならず、それを伝え、届けることもまた、つくり手の「義務」なのです。

良いものをつくり、そしてそれをお知らせするのが義務である。この2ステップである点がポイントです。良い商品づくりと宣伝は、「オア」ではなく「アンド」なのです。

お知らせすることはたしかに「義務」ではありますが、まずは「知らせる価値のあるものをつくる」のが大前提です。これは広告の実務をやっている人なら誰もが実感するところだと思いますが、良くもない商品を広告宣伝で誤魔化してなんとか売ることなど、いかなる商材においても本来できることではありません。

たしかに悪質な情報商材や化粧品・サプリが一時的に売れてしまうことはあります。しかしそれはネット社会の歪みに生まれた「モンスター」のようなような存在です。情報商材や化粧品・サプリの業者もほとんどは善良で、悪質な業者は世の中の原理原則からは外れた、稀な「バグ」なのです。長い目で見れば駆逐されていくに違いありません。

かねてからのものづくり信仰と、この「モンスター」の存在が相まって、良いものをつくればプロモーションなど不要だ、プロモーションはむしろ悪だ、という誤解が社会に蔓延してしまっています。

そんな考えは誤解どころか、むしろそれ自体が害悪ですらあります。素晴らしい商品が世に羽ばたいてたくさんの人を幸せにするのを阻み、老舗の酒蔵や伝統工芸家を廃業に追い込むからです。

「良い商品をつくる」努力は欠かせませんが、「それを広く伝える」努力も同時に怠ってはいけないのです。広告を過信してものづくりを怠るのは論外ですが、商品を過信して広告を軽んじるのも同じように問題です。松下幸之助さんの言葉を思い出してください。広告宣伝は商売人の「義務」なのです。

PIE(パイ)の原則

そして、これは個人のキャリアアップにも当てはまります

グローバル企業で昇進するにはPIE(パイ)が重要だと言われます。パフォーマンス(P)=仕事の実力、イメージ(I)=印象、エクスポージャー(E)=どれだけ目立っているか、の3つです。注目すべきは、それぞれが持つ重要度の割合です。

・仕事の実力:1割
・印象:3割
・どれだけ目立っているか:6割

「どれだけ目立っているかが6割」とされているのです。

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