デキる人がこっそり使う「心に響く話し方」3技術 データもロジックも「これ」がなければ効果半減

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しかし、承認者の立場に立ってみると、このような提案者は、家電量販店にいる「説得の達人」のような存在です。いきおいプレゼンテーションは長くなり、質疑応答の時間がほとんどとれない、ということになりがちです。そうなると、なおさら説得ムードが漂います。

心を動かすプレゼンテーション「3つの鉄則」

企画提案を通すのが上手な人は、まったく違うアプローチをとります。準備は大切なのですが、別の準備をするのです。

1.「対話の空間」をデザインする

その場が「聴講」や「陳情」、「討議」などではなく、「対話」の空間になっていることは、頭ではなく心に働きかける「腹落ちアプローチ」の最重要ポイントです。対話は心をオープンにしてくれるからです。

テレビ番組などのMC(マスター・オブ・セレモニー)は、舞台の雰囲気・空気づくりに責任を負っています。単に進行することだけが仕事なら、「マスター」などとは呼ばれないでしょう。プレゼンやスピーチにおいて、MCの役割を担うのは話し手です。話し手は、単に話をすることだけが仕事なのではなく、MCとして「対話の空気」をつくる責任を負っている。提案の巧者はそう考えます。

オーケストラでいうと指揮者の役割です。指揮者が指揮をはじめる前に腕を振り上げる動作を「アウフタクト」と言います。アウフタクトは短い動作ですが、その中にはこれから始まる曲に対する、指揮者の考えが詰まっています。その動作がゆっくりであれば曲全体のテンポもゆっくり、といった具合に、演奏者はそこからたくさんの情報を読み取るのです。

プレゼンにおけるこのアウフタクトは、話し手による「会議の始め方」です。「先日の経営会議で方針が決定した○○につきまして」と話しはじめるのと、「そういえば○○さん、ワクチンもう打ちましたか?」とでは、その後の場の空気・雰囲気は大きく異なります。指揮者が勢いよく指揮棒を振り上げたら、一拍目をゆっくりと振り下ろすことはできません。それと同じく、会議の始め方は、失敗したら取り返しがつかない重大事です。

提案巧者は、この導入のプロセスを入念に設計し、「対話の空間」をデザインします。

2.聞き手を「企画側」に巻き込む

そのうえで、「提案というよりは議論のたたき台です」「経験豊富な○○さんのアドバイスでブラッシュアップしていただきたいです」などと前置きし、承認者の意見を歓迎する旨を伝えます。聞き手の能動的な参加を促し、企画を押しつけるのではなく、自ら企画者として「こちら側」に参加してもらうような演出をします。

また、具体的な提案に際しては複数のオプションを用意します。推奨案として自分の立ち位置を明確にする必要はありますが、これしかない、という提案は相手が「自ら選ぶ」機会を奪ってしまうので控えます。ショッピングが楽しいのは、自ら選ぶ体験だからでした。「押し売り」や「お使い」はむしろ苦痛なのです。

提案に意図的に「あら」を残しておき、承認者に指摘をもらって会議中にそこを上書きする、というのもテクニックです。1ミリも隙のない提案をただ機械的に承認したい、などと思っている承認者はまずいません。承認者たちは自分の仕事をして、チームに貢献したがっているのです。うまく巻き込んで、自分の企画だと思ってもらえれば、その場の承認のみならず、その後のサポートも期待できます。

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