累計160種類「ガリガリ君」のネタが尽きないワケ 年間100以上の新商品出す赤城乳業の強み

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

「ガツン、とみかん」も伸びた。人気ユーチューバーでもあるお笑い芸人、江頭2:50氏が同商品の熱烈なファンで、自身のユーチューブチャンネル『エガちゃんねる』で2020年からくり返し取り上げていた。赤城乳業に本人が電話しCM出演したい、と申し出たことがきっかけで、2022年3月17日からまず、ウェブCM第1弾が実現している。

江頭2:50が登場する「ガツン、とみかん」のウェブ版CM(写真:赤城乳業提供)

ソフトクリームのアイス部分だけをカップに詰めたソフシリーズも、北海道産の乳製品だけを使うリニューアルを行い、売れ行きが伸びた。

岡本課長は、自らの仮説と断ったうえで「コロナ禍でチョコ系やフルーツ系のアイスが結構売れました。アイスはお菓子ほど重くなく、おうち時間のおやつ事情にマッチしていたのではないでしょうか。その中でおやつ感のあるチョコ系、フルーツ系のアイスの選択肢が赤城乳業にも多くある影響もあったのではないでしょうか」と分析する。

大ヒットは出にくくなっている

江頭2:50氏のエピソードからもわかるように、赤城乳業には熱心なファン層がある。それでもなお、近年は話題性が必ずしも売れ行きに結びつかない苦労がある、と岡本課長は明かす。

「昔は『どんな味だろう』と食べて盛り上がったのが、最近は味の想像がつかないモノは買われない傾向があります。人の報告を聞いて満足しちゃうんです」(岡本課長)。せっかくネットで盛り上がったとしても、実際に商品に手を伸ばす人は減っている、とみる。変化したのは10年ぐらい前から、というからSNSの浸透がどうも、ヒット商品を出す難しさに影響しているようだ。

数々のヒット商品を出す赤城乳業においてすら、近年の市場を読む難しさがある。この悩みには、商売をする多くの人たちが共感するのではないだろうか。しかし、厳しい環境だからこそ、求められているモノが何かを考え、しっかり調査をして裏付けを取り、挑戦していくしかないのだろう。

一方で今後の業績成長には自信を示す。コンビニには強みを持つが、スーパーなどほかの販路はシェアを伸ばす余地があるほか、例えば関西圏などより多くの顧客を開拓できる地域があるとみているからだ。嗜好の多様化などによってヒット商品が出にくくなっている中で、赤城乳業はどこまで成長を続けられるのか。

阿古 真理 作家・生活史研究家

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

あこ まり / Mari Aco

1968年兵庫県生まれ。神戸女学院大学文学部卒業。女性の生き方や家族、食、暮らしをテーマに、ルポを執筆。著書に『『平成・令和 食ブーム総ざらい』(集英社インターナショナル)』『日本外食全史』(亜紀書房)『料理に対する「ねばならない」を捨てたら、うつの自分を受け入れられた』(幻冬舎)など。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事