「奨学金350万円」現役大学生が語るリアルな不安 中流家庭の普通の子が「借金を背負う」ということ

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「経営学を専攻するきっかけになったのは、昔から実家が日本経済新聞を取っていたからです。幼い頃はテレビ欄やスポーツ欄しか読んでいませんでしたが、成長するに連れて1面などの記事も読むようになりました。当然、内容が難しいので調べながらか、両親に聞きながらではないとわかりませんでしたが、これが自分の礎になったと考えています。

それに、父と兄は株、母は一般NISAというように、家族みんなが『お金を動かすこと』をやっていたので、そんな家族の姿を見て、僕も金融リテラシーが身についたと思うんです。割と幼い頃から『お金の管理はしっかりするように』という気持ちが芽生えていましたね、このような経験があったため、金融教育というのは学校で教わるものではなく、テレビや新聞、そして家族からしか学ぶことはできないと思います」

両親からの助けは見込めず、学費のほとんどを奨学金で支払う必要のある中岡さんは、持ち前の金融リテラシーのおかげで、将来の資金繰りまで考えることができている模様。しかし、そこまで考えられている学生は多くはいないだろう。

「高校では進学希望者を対象に奨学金の説明会が行われていましたが、そこで初めて『大学進学の値段』を知る同級生たちがたくさんいました。それまでは、みんなも僕と同じように自分は『中流家庭』と思っていたはずです。

それが、奨学金の説明会で大学に在籍するための金額だけではなく、両親の稼ぎを知る人が多く、これから生きていくために必要なお金に戸惑っていました。だからこそ、お金に関しては早めに現実と向き合えたほうがいいので、高校生の間に家族と話し合う機会を設けるといいと思いますね」

余裕のない学生ほど、奨学金の情報に届きにくい

払うことになる学費の高さに直面しつつも、勉強に励む中岡さん。ようやくコロナも落ち着いたため、2つのサークルに所属しながら、キャンパスライフを楽しんでいる。

奨学金のおかげで大学に通えていることは確かだが、それはそれとして現行の制度やあり方に納得がいかない部分は多々ある。

「やっぱり、何をするにもシステムが複雑すぎますよね。申請に関しては親の収入状況を明記する必要があったり、自分だけでは完結できないことも多いですし。

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