「親の稼ぎだけでは、学費のすべてを賄うことは難しそうだったので、少しでも足しになればと思い、奨学金を借りました」
そう語るのは自身を「中流家庭」出身と評する、現役大学生の中岡和樹(仮名・20歳)さん。都内の私立大学に通っており、取材時はまだ大学1年生だった。
「中流家庭」と自負、奨学金は学費の足しに
この連載では想像を絶するような貧困や、家族との不仲がきっかけで奨学金を借りた人たちが、これまで多く登場してきたが、学生の2人に1人が奨学金を借りる時代である。中岡さんのように「足しになれば」という理由から借りる者も当然ながらいる。
「僕は3人きょうだいの次男坊。両親は共に大卒なので、子どもの頃から『自分も大学に進学するんだろうな』とは思っており、小学校の頃から塾にも通っていました。そういうところでお金を使ってもらっていたので、大学に進学させるためのお金が足りなくなったのでしょう。
でも、貧乏なのかというと、そうでもなく両親は大学のお金を工面できなかっただけだと思っています。だから、僕は奨学金を借りながらも、自分のことを『中流家庭』だと自負しているんです。世の中にうちと比べ物にならないぐらい、貧しい家庭というのはたくさんあって、下を見てもキリがないですからね」
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