そう語る中岡さんの父親はサラリーマン歴30年、母親は個人請負で在宅ワークの共働きで、郊外の一軒家に家族5人で住んでいる。確かに、マンガやアニメに出てくるような「中流家庭」のイメージだ。
とはいえ、ローン返済と子ども3人の子育ては同じ時期である。どちらかが、支払いを待ってくれるわけでもない。
「4歳年上で現在社会人の兄も学生時代、第一種奨学金(無利子)を借りており、妹はまだ高校生ですが、これから大学進学するとなれば、奨学金は必須です。一軒家に住んでいると、お金に余裕があるように聞こえますが、これも母がどうしても持ち家が欲しかったため、20年前に10年ローンで購入したそうです」
その結果、奨学金を借りるわけだが、一方で「小学生の頃から塾に通っていた」という発言を中岡さんはしている。そこは、中学受験を目指すための進学塾だった。
昨今はやりの「タワマン文学」ではないが、彼も小学生のときに「受験ブーム」に直面することになったという。
「クラスの仲のいい友達のほとんどが中学受験をすることになり、僕も勉強は苦手ではなかったので、『自分も私立校に行きたいな』と思うようになったんです。そのことを親に相談したところ『やってみようか』と快諾してくれて、お金に関して何も言われることはありませんでした。
そこから、進学塾に通わせてもらっていたのですが、いくら勉強しても志望校の偏差値には全然届きませんでした。このまま続けていても、どうにもならないことは目に見えており、とうとう塾のほうから『合格は無理だと思う』と言われてしまったんです。それまでは、ずっと本気で勉強していましたが、その一言で緊張の糸が切れましたね。そこから、三者面談を通じて普通に公立に進むことにしました」
友達とは離れ離れになったことで、それなりに大きな挫折を経験したようにも思えるが、彼は「義務教育は国が保障してくれていたから」ということで、とくに悲壮感を感じることはなかったという。
第一種奨学金の受給を目指し勉強
勉強は好きだが、すぐに成績には結び付かない……。そんな中岡さんに高校入学後、転機が訪れる。
「大学進学を見越して高校に入学したのですが、その際に親から『高校の成績がよければ、大学では無利子で奨学金を借りられるんだよ』と言われました。要は第一種奨学金は実家が金銭的に困っているか、成績優秀でないと借りられないので、ハッパをかけられたのでしょう。でも、大学に入るために、確かに奨学金は必須だったので、そこから卒業するまでは毎日成績をアップさせることに必死でした」
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