「奨学金440万円」44歳彼が語る親世代への違和感 学ぶ人が「変わり者扱い」される風潮に思うこと

✎ 1〜 ✎ 21 ✎ 22 ✎ 23 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
トップ画像
船田亘さん(44歳・仮名)は奨学金440万円を借りて、社会人になってから大学院博士課程に進んだ男性。大学院生や研究者に対し「金にもならない勉強をがんばっている」「一体なんの役に立つのか」などと思う人が多い親世代には、違和感を覚えることも多いようです(写真:kohei_hara/GettyImages)
これまでの奨学金に関する報道は、極端に悲劇的な事例が取り上げられがちだった。
たしかに返済を苦にして破産に至る人もいるが、お金という意味で言えば、「授業料の値上がり」「親側におしよせる、可処分所得の減少」「上がらない給料」など、ほかにもさまざまな要素が絡まっており、制度の是非を単体で論ずるのはなかなか難しい。また、「借りない」ことがつねに最適解とは言えず、奨学金によって人生を好転させた人も少なからず存在している。
そこで、本連載では「奨学金を借りたことで、価値観や生き方に起きた変化」という観点で、幅広い当事者に取材。さまざまなライフストーリーを通じ、高校生たちが今後の人生の参考にできるような、リアルな事例を積み重ねていく。

この連載には大学進学を機に、10代で奨学金を借りた人が多数登場している。他方で、社会人を経験した後に奨学金を借りて進学する人もいる。船田亘さん(44歳・仮名)も、そのひとりだ。

「大学と大学院の修士課程までの学費は、両親に出してもらいました。でも、卒業して就職、家庭を築いたあとに大学院の博士課程に戻ることにして。今さら両親に学費を出してもらうわけにもいかないので、奨学金を借りることにしました」

建築家を目指して美大へ、しかし進路を転換

船田さんは瀬戸内海に面する某県の出身。高校卒業後は東京の美術大学に進学する。

次ページ建築家の世界は「四十、五十は洟垂れ小僧」
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事