「奨学金400万円」30歳彼女が見た母の預金通帳 「学費を払えば、母と弟の生活は成り立たない」

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佐藤佳乃さん(仮名・30歳)は関東圏出身ながら、韓国の私立大学を卒業した女性。もともと京都の大学に進学するつもりだったものの、お母さんの通帳を見て、その預金額の少なさに衝撃を受けたことが方向転換のきっかけになったと言います(写真:Kosamtu/GettyImages)
これまでの奨学金に関する報道は、極端に悲劇的な事例が取り上げられがちだった。
たしかに返済を苦にして破産に至る人もいるが、お金という意味で言えば、「授業料の値上がり」「親側におしよせる、可処分所得の減少」「上がらない給料」など、ほかにもさまざまな要素が絡まっており、制度の是非を単体で論ずるのはなかなか難しい。また、「借りない」ことがつねに最適解とは言えず、奨学金によって人生を好転させた人も少なからず存在している。
そこで、本連載では「奨学金を借りたことで、価値観や生き方に起きた変化」という観点で、幅広い当事者に取材。さまざまなライフストーリーを通じ、高校生たちが今後の人生の参考にできるような、リアルな事例を積み重ねていく。

「もともと私は京都のとある私立大学を志望していて、実際に現役で合格したんです。でも、入学に向けて資料を請求しつつ、『ひとり暮らしを始めたら、いくらくらいお金がかかるんだろう』と考えていたところ、偶然、母の通帳を見てしまって……。

そこに記載されていた貯金額は、私の入学金と1年目の学費を払ったら、母と弟の生活が成り立たなくなる額だったんです。進学について冷静になった瞬間でした」

母子家庭で育ち、下に弟が控えていた

今回話を聞いたのは、関東圏出身ながら、韓国の私立大学を卒業した佐藤佳乃さん(仮名・30歳)。昨今のK-POPブームから韓国のカルチャーに憧れたのかと思いきや、もともと留学を夢見ていたわけではなかったという。

「私が3歳のときに父が病気で亡くなり、それ以来、ずっと母子家庭で育ちました。きょうだいは私と3歳年下の弟。私の大学受験と弟の高校受験が重なり、大学進学には奨学金はもともと必須だったんです」

しかし、それを考慮しても母の貯金額は、佐藤さんの心を揺さぶるのに十分だった。

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