「もともと私は京都のとある私立大学を志望していて、実際に現役で合格したんです。でも、入学に向けて資料を請求しつつ、『ひとり暮らしを始めたら、いくらくらいお金がかかるんだろう』と考えていたところ、偶然、母の通帳を見てしまって……。
そこに記載されていた貯金額は、私の入学金と1年目の学費を払ったら、母と弟の生活が成り立たなくなる額だったんです。進学について冷静になった瞬間でした」
母子家庭で育ち、下に弟が控えていた
今回話を聞いたのは、関東圏出身ながら、韓国の私立大学を卒業した佐藤佳乃さん(仮名・30歳)。昨今のK-POPブームから韓国のカルチャーに憧れたのかと思いきや、もともと留学を夢見ていたわけではなかったという。
「私が3歳のときに父が病気で亡くなり、それ以来、ずっと母子家庭で育ちました。きょうだいは私と3歳年下の弟。私の大学受験と弟の高校受験が重なり、大学進学には奨学金はもともと必須だったんです」
しかし、それを考慮しても母の貯金額は、佐藤さんの心を揺さぶるのに十分だった。


















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