結果、佐藤さんは、受験期に母が取り寄せてくれたパンフレットの存在を思い出すことになる。
「以前、母から『こういう道もあるみたいよ』と、語学留学の資料をもらったんですよ。京都での大学生活に恋い焦がれていた私は聞き流していたのですが、改めて資料を読み直してみると、『学費・寮費諸々込みで半年間で30万円』という破格の金額であることを知って。
行ってみて合わなかったら戻ってくればいいし、もともと浪人して国立大学を目指そうと思っていたタイミングでもあったので、『予備校に通うお金の代わりだ』と考えて、方向転換したんです」
こうして、海外留学に予定を変更。留学先はお隣の韓国で、半年間の留学だったはずが、結局、1年間滞在することとなった。
「意外となじみがよかったというか、肌に合ったんです。通っていたのは語学学校みたいなところで韓国語を勉強していたのですが、そこは私立大学の付属校で、『このまま勉強を続けていれば、韓国内の大学に進学することができるかもしれない』とわかりました」
なかなか珍しいパターンの大学進学だが、留学して1年が経った19歳の3月に、一浪のようなかたちで、語学学校の系列だった、ソウルにある私立大学に入学を果たす。
「入学試験のほか、高校での成績や、韓国語の熟練度の筆記試験と面接を受けました。現地の大学の講義についていける程度の語学力があるのか確かめられるんです」
改めて紹介するが、佐藤さんはもともと韓国文化に親しんできたわけではなく、留学するまで韓国との縁もなかった。それなのに、たった1年の語学留学で韓国語をマスターしたわけである。
「韓国語って日本語とよく似ているんですよ。基本的に文法が日本語と同じですし、単語の語源も7割ぐらいは一緒なので、英語よりも日本人には親しみやすいんですよ。現地にいれば生の韓国語はいくらでも耳に入ってきますしね。
外国語はやっぱり現地で覚えるのが、いちばん早いということを体感しました。語学学校には私のように、それまで韓国語に触れてこなかった日本人もいましたが、1年もあれば大学の入試は合格できるぐらいにはなっていましたね」
気になる韓国留学の奨学金事情
こうして、韓国の私立大学に入学した佐藤さんだったが、学費と奨学金はどうなったのだろうか?
「もともと、韓国の大学は日本の国立大学と比べても学費が安いんです。それでも、日本に残る母と弟のことを考えると、仕送りはとてもお願いできませんでした。そこで、大学入学を機に、今の『海外留学のための貸与奨学金』に相当する、第二種奨学金(有利子)を毎月8万円借りました。4年間での貸与総額はだいたい400万円です」
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