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創薬ベンチャーのオンコリスが世界初承認で狙う「ウイルス治療薬企業への脱皮」。浦田泰生社長が語るテロメライシン実用化の意義

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昨年12月15日、オンコリスは本社で記者会見を実施。「テロメライシン」承認申請の意義を訴えた (写真:記者撮影)

「ウイルスでガンを治す」――。医薬品業界の「非常識」に挑むのが創薬ベンチャーのオンコリスバイオファーマだ。

2025年12月15日、食道がん向けで世界初の腫瘍溶解ウイルス治療薬「テロメライシン」の国内承認申請にこぎ着けた。順調にいけば26年内には承認・上市(発売)の道が見えてくる。創業以来の夢が22年を経て実現しようとする中、これまでの苦難や承認に向けて残る最後の課題、バイオベンチャーの枠を超える壮大な将来像と戦略について、創業者の浦田泰生社長に聞いた。

※本記事は「会社四季報オンライン」でも有料会員向けに配信しています

データと熱意が当局を動かした

――テロメライシンの申請は大変なことだったのでしょうか。今の気持ちを教えてください。

感慨はひとしおだ。当社はリーマンショックで倒産寸前に追い込まれ、中外製薬との提携解消という大打撃も経験した。何度も困難があっただけに、よくぞここまで来たという思いだ。

テロメライシンの臨床試験(治験)データをPMDA(医薬品医療機器総合機構)へ持ち込んだのは23年。しばらくは「効果のエビデンスはどこにあるのか」との指摘が続いた。

しかし、食道がん患者には、切除手術にも副作用の強い化学療法(抗がん剤)にも耐えられない高齢者などがいる。こうした患者には放射線(単独)治療を行うしかないが、それがべらぼうに効くわけでもない。

一方、放射線とテロメライシンを併用した場合、局所完全奏功率(がんが完全に消失する患者の比率)は、こうした患者でも治療6カ月後で40%、1年半後だと50%台と高い。「なのに、なんでわかってくれないのか」と悩んだ。

そこに救いの手が来た。コアとなる医師が「じゃあ俺が(PMDAに)言ってあげる。この薬は必要だから」と、PMDAとの面談に2度も同席してくれた。さらに、国立がん研究センターが放射線単独療法のデータを発表した。この結果、最終的には、申請に必要なデータを早く出すよう当局から要請されるまでになった。

――治験の症例数は36例と、少人数の2相試験までしか行っていません。そうした中、市販後治験が不要となる「通常承認」を目指すとしています。この条件での通常承認はほぼなく、ハードルは高いと思いますが、本気で目指していますか。

本気だし、可能性はあると思う。統計学的な有意性を示すには(当社が申請した治験36例より少ない)30例ほどの試験をすれば十分と考えており、それでも市販後治験が必要なのかと思っている。ただ、当局は「(条件付き承認の条件となる)市販後治験は不要」と断言はしない。

薬の品質同質性確認など残された課題もあるが、サンバイオの(審査が長引いた)細胞治療薬に比べると、性質上、当社のアデノウイルスにとってはハードルが低いと思う。解決したとは言えないが、当局からダメ出しはされていない。品質には自信があるものの、治療薬にほかのウイルスが入ってないかなどの問題もある。1つひとつ、問題を解消している。

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