「奨学金400万円」30歳彼女が見た母の預金通帳 「学費を払えば、母と弟の生活は成り立たない」

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「もともと、私は子どもの頃から教師になりたいと思っていたのですが、中学生のときに祖父の見舞いで飛行機に初めて乗った際、ビビっときて『将来、私はここで働くんだな』と天啓が降りちゃったんですよ!(笑) 宗教じみた話をしていますが、そこから将来の夢は客室乗務員で、韓国系の航空会社の求人に応募し、採用されました」

急展開のように思えるが、実際、佐藤さんは韓国の大学で観光学を専攻にしていたという。計画性があるのかないのかよくわからない感じだが、興味深いのは、実は日本の大手航空会社からも内定をゲットしていたということだ。なぜ韓国系の航空会社を選んだのだろうか?

「国内大手でも外資系でも初任給は20万円程度で、最初の3年ぐらいは基本給の水準は大差ないんですね。でも、一方で賞与には大きな違いがあって、奨学金を早く返したかった私は外資を選びました。

また、給与や賞与とは別に『滞在費』というのが支給されるのですが、これがドル建てで、毎月700ドルほど入ってきてました。でも、滞在先に泊まるにしても、もともと会社がホテルを手配してくれているので、かかるのは食事代ぐらい。それを貯めていって、日本円のレートがいいときにまとめて換金していました。あと、実家が都内にあり、韓国でも寮で過ごせたので、家賃がかからなかったことも大きかったですね。これがひとり暮らしだったら、返済方法も違ったのでしょう」

日韓のバイトの賃金の差を駆使する人なので、当然、通貨のレートの差にも思考は及ぶ。

思い切った進路選択と持ち前のクレバーさもあり、佐藤さんはわずか4年弱で奨学金をすべて返済。現在は転職し、別の韓国系企業で働いているそうだ。

「母の通帳」に隠された衝撃の真実

さまざまな学生時代を送った人が登場する本連載でも前例を見ない、個性的な大学生活を送ってきた佐藤さんだが、冒頭で述べた「母の貯金額」の話も、なんと佐藤さんの勘違いだったことが、数年後に判明したという。

「あとから母に聞いたところ、その通帳はいくつかある通帳のうちのひとつだったようで、『そんな少ないわけないでしょ!』って(笑)。でも、当時の私は『これがわが家の全財産』と思ってしまったんですよ」

学生らしい勘違いだが、母親想いな一面が現れたエピソードといえるだろう。

そんな彼女は今、国際色豊かな学生時代を、とても充実していたと振り返る。

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