「奨学金440万円」44歳彼が語る親世代への違和感 学ぶ人が「変わり者扱い」される風潮に思うこと

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また、思うところもあったとは思いますが、父母も義父母も、研究者の道に進むことに、強くは反対しませんでした。そのおかげで自分が躊躇せずにいろいろと道を選べたのは、ひとえに家族のサポートのおかげだと思います」

親世代への教育観に対する「違和感」

このようにして、船田さんは教育という「再投資」で人生を切り開いてきたからこそ、教育や人材育成をめぐる日本の状況には、思うこともあるようだ。

「私の両親ぐらいの60代から70代くらいって、高度経済成長期で景気がよかったため、短い期間の教育投資であっても十分リターンがあった世代なんですね。だから、大学院生や研究者志望の若者に対して、『30歳にもなって、金にもならない勉強をがんばっている奇特な人』というイメージが強いんですよ。

一方で、私のようないわゆる『低成長時代』の第1世代は教育や自己投資への捉え方も違いますし、海外で大学院生や研究者への扱いの違いも、私は身をもって感じてきました。だからこそ、学ぶ人たちの捉え方が『次のキャリアのための見習い期間』というふうに変わればいいなと思うし、自分に投資して再教育し続けていくことの大切さについても理解が広がればと思っています。

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また、大学も奨学金制度も、生涯教育などの観点ではまだまだ改善できるポイントがあると思いますし、大学院についても新しい価値を作る力を身につける場所として、給付型奨学金の実現が難しくても、大人向けの支援プログラムが充実すればいいなと思っています」

人生100年時代において、学び続けることは重要だが、そこには原資(お金)が必要になる。

今後、彼のように社会人になってから、大学院に進む人も増えていくのだろうか。そして、その中で、現代日本が抱える構造的な問題点を感じるようになっていくのだろうか。

本連載「奨学金借りたら人生こうなった」では、奨学金を返済している/返済した方からの体験談をお待ちしております。お申し込みはこちらのフォームよりお願いします。奨学金を借りている/給付を受けている最中の、現役の学生の方からの応募も歓迎します。
千駄木 雄大 編集者/ライター

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せんだぎ・ゆうだい / Yudai Sendagi

編集者/ライター。1993年、福岡県生まれ。奨学金、ジャズのほか、アルコール依存症に苦しんだ経験をもとにストロング系飲料についても執筆活動中。奨学金では識者として、「Abema Prime」に出演。編集者としては「驚異の陳列室『書肆ゲンシシャ』の奇妙なコレクション」(webムー)なども手掛ける。著書に『奨学金、借りたら人生こうなった』(扶桑社新書)。原作に『奨学金借りたら人生こうなる!?~なぜか奨学生が集まるミナミ荘~』がある。毎月、南阿佐ヶ谷トーキングボックスにて「ライターとして食っていくための会議」を開催中。

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