「核家族での子育て」が大変である進化論的な理由 ヒトの進化史を踏まえた理想的な子育てとは

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3 ✎ 4 ✎ 5
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
人類の進化の歴史を踏まえると、現代の核家族による子育ては理想的とは言えないようです(写真:kapinon/PIXTA)
私たち人類が過酷な環境を生き延び、さまざまな問題を解決し、世界中で繁栄することができたのは、「協力」という能力のおかげだ。
だが、人間のみならず、多くの生物が協力し合って生きている。そもそも多細胞生物は、個々の細胞が協力し合うことから誕生したものであり、生命の歴史は協力の歴史ともいえるのだ。
一方で、協力には詐欺や汚職、身内びいきなどの負の側面もある。それでは、私たちはどうすればより良い形で協力し合うことができるのだろうか?
今回、日本語版が6月に刊行された『「協力」の生命全史』より、一部抜粋、編集のうえ、お届けする。

実は珍しい協力的繁殖をする種

他者と協力することの利点を考えれば、協力的繁殖を行なう種の割合が比較的小さいのは意外に思えるかもしれない。

『「協力」の生命全史』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら

たとえば、協力的繁殖を行なう両生類や爬虫類は知られていない。昆虫類、クモ類、哺乳類、魚類の場合はすべての種の1%以下、鳥類の場合は8%前後だ。

協力行動を習得するのは難しく、そうした種が繁栄するためには、条件が整わなければならない。繁殖を助ける「ヘルパー」が最も出現しやすいのは、雌が一夫一妻制をとり、1回の繁殖で複数の子を産める種だ。

一夫一妻制でヘルパーが有利になるのは、ヘルパーは異父(異母)きょうだいではなく、実のきょうだいの誕生を手助けすることになるからである。同様に、雌が1回に1匹ではなく複数の子を産むほうが、ヘルパーが母親の繁殖の成果を高める余地が大きい。

次ページヒトがとった例外的な戦略
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事