食品や、食品を複雑に組み合わせた食事は、多くの栄養素の複雑な混合物である。栄養を理解するためには、単一の栄養素ではなく、こうした混合物内の栄養素のバランスという観点に立って考えることが欠かせない。
ステーキは半分が「水」である
生物が繁栄するためには、適量の主要栄養素と微量栄養素を摂取しなくてはならない。
一部の動物、たとえば宿主の体内に棲む寄生生物などは、たった1つの食料源から必要なすべての栄養素を正しいバランスで得ることができる。そうした生物にとっては、適切な食生活を送るのは朝飯前だ。
さいわい、人間を含むすべての哺乳類は、これと似た理想的な環境で生を始めることができる。母乳は新生児の成長に必要なすべての栄養素が適切な比率で含まれた、完全にバランスの取れた食事に限りなく近い。だが離乳したあとの哺乳類にとって、栄養をバランスよく摂取することは至難のわざとなる。
それもそのはずで、私たちの食べるものは、栄養素のほぼ無限の組み合わせでできているのだ。
もちろん、タンパク質が豊富な食品や、炭水化物や脂肪が豊富な食品はあるが、どんな食品も様々な栄養素の混合であり、たった一つの栄養素でできた食品というものは存在しない。
たとえばパスタやパンは、一般にいわれるとおり炭水化物が豊富だが、総エネルギー(カロリー)の約10%をタンパク質が占める。同様に、ステーキはタンパク質の塊だが、水分が半分以上を占めるほか、脂肪やミネラルも多く含んでいる。
まとめれば、栄養の主要プレーヤーは、カロリー、主要栄養素(タンパク質、炭水化物、脂肪)、微量栄養素、食物繊維であり、栄養とは個々の栄養素(脂肪、炭水化物、タンパク質等々)の寄せ集めではなく、食物栄養素の比率とバランスの問題なのだ。
(次回は6月23日配信)
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