カロリーばかり気にする人が知らない栄養の全貌 タンパク質、炭水化物、脂肪の寄せ集めではない

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人間が健康に生きていくために最適な食事とは?(写真:shimi/PIXTA)
炭水化物、脂質、タンパク質――。人間が生きていくには、「食べて」栄養を摂取していかなければならない。そもそも栄養とは一体なんなのか。シドニー大学の世界的栄養学者2人が「人類の食欲の謎」に迫った『食欲人』から一部抜粋、再構成してお届けする。
第1回:「食欲の謎」を追った科学者が見つけた意外な真理(6月2日配信)
第2回:バッタの食欲を調べ尽くした科学者が達した答え(6月9日配信)

カロリーは「とても変わった単位」である

栄養はとてつもなく複雑なテーマだから、まずは簡単な問いから考えよう。なぜ食べる必要があるのだろう?

今日、食べ物に混乱や不安を感じている人は多い。これはとても残念なことだ。本来食べ物はまたとない恵みを与えてくれるものだ。食事は大きな楽しみであるとともに、生命そのものの燃料でもある。

私たちが食べ物から得る必要があるもののなかで、最もなじみ深いのは「エネルギー」だ。食品のパッケージや、最近では飲食店のメニューにまでくまなく書かれた数字――どれだけのエネルギーを含むかという数字の羅列と、それをどれだけ食べるべきかを示す厳格な栄養ガイドライン――を見ない日はない。

もちろん、ラベルには「エネルギー」という言葉は使われていない。たぶん、「カロリー」という言葉のほうがなじみ深いだろう。

だがカロリーとはいったい何なのか?

カロリーはただのエネルギーの単位だ。1キロカロリーは、摂氏14.5度の水1キロ(1リットル)を15.5度まで1度上げるのに必要な熱量をいう。とても変わった尺度だ――お風呂を温めるのにどれだけの食品が必要かなどと考えたことがある人は別だが。

それでも、この単位は厳密に正確であり、だからこそ私たち科学者は好んで使う。そんなわけで、イメージしづらいという難はあるが、誰もが食べ物をカロリーで考えるようになっている。

さらにややこしいことに、カロリーは一般に「キロ」カロリー(kcal)の単位で表される。昔は大文字から始まるCalと小文字から始まるcal(1Cal=1000cal)の表記があったが、紛らわしいから前者をキロカロリーと呼ぶようになった。

次ページキロジュール(kj)で表される場合も
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