また食品の熱量はキロジュール(kj)で表される場合もある。キロジュールは、科学者がキロカロリーとともに主に使用する単位で、さらに謎めいた定義がなされている。1キロジュールは、1㎏の物体に1ニュートン(これ自体が力の単位である)の力をかけて1メートル移動させるのに必要な熱量である。
1キロジュールは0.239006カロリーに相当する。
つまり、食品に含まれるエネルギーを、何らかの行動――水を温める、または物体を動かす――を推進する理論上の力をもとに定義するということだ。
「主要栄養素」が食べ物をエネルギーにする
水を例外として、どんな食品にもカロリーが含まれる。
これは幸いなことだ。なぜなら私たちの体はエネルギーがなければ、何をすることもできないし、食品から得られるもう1つの重要なものである、栄養を利用することもできないからである。
食品のエネルギーを生み出しているのは、それに含まれる主な栄養素だ。これらは「主要栄養素」と呼ばれ、それぞれが化学的に異なる化合物である。
これらの体を動かす燃料となる栄養素、すなわちタンパク質、炭水化物、脂肪は、摂取されると小さな分子に分解され、細胞内で燃やされる。
だが主要栄養素が提供するのは、エネルギーだけではない。
タンパク質と、その構成要素であるアミノ酸は、分子中に「窒素」を含んでいる。
窒素はホルモンや酵素、それに情報を蓄積・保存する分子であるDNAとRNAをはじめ、体内のあらゆる重要なものをつくる物質である。
私たちはタンパク質を摂取しなければ生きていけない。
脂肪と炭水化物は、一般には「カロリー」の代名詞になっているが、それよりずっと多くのものを含む栄養素だ。
脂肪は私たちを寒さから守り、ビタミンを貯蔵し、肌を潤し、眼球や関節を衝撃から保護する。脂肪の構成要素である脂肪酸は、体内のすべての細胞を包んでいる膜をつくる。
また「ステロール」と呼ばれる特別な種類の脂肪は、生命を支える複雑な化学的機構を連携させるメッセンジャーとして働く。
私たちは脂肪なしではやっていけない。