パターン学習から「何が出たとしても対応できる力」へ
佐藤:中学受験というと、「他の娯楽を禁止して必死で勉強させなければいけない」「親の頑張りが100%」といったイメージを耳にすることがあります。保護者の方が追い詰められているような、そんな印象を抱いて苦しくなることもあるんです。
30年以上、中学受験に向かうご家庭をサポートしてきた広野さんからご覧になって、保護者の関わりに変化はありましたか。
広野:確かに以前は、保護者の関わりが強く求められる側面がありました。お母様が仕事を辞めて子どもの中学受験の勉強に付きっきりになり、日々教え込むといったご家庭を目の当たりにしたこともあります。しかし、現在はその様子は大きく変わってきています。個々の子どもの個性にもよりますが、ご家庭で勉強を教え込むことは推奨していません。
この背景には、入試において「詰め込み」や「教え込み」ではなく、「何が出たとしても対応できる力をつける」ことが求められるようになったことがあります。
佐藤:中学受験勉強だけでなく私たちの子ども時代は、学習量が重視されてきたように思います。繰り返し同じような問題を解くパターン学習やいかにたくさんの知識を覚えるかが問われていた。しかし、「何が出たとしても対応できる力」をつけることは、ただ闇雲に量をこなしているだけでは難しそうですよね。
広野:そうです。教わる時間も大切ですが、その「教わった内容を自分のものにして自分の力で問題を解くこと」に時間を使うことが重要なのです。どれだけ頭を悩ませるか、どれだけ頭を使う経験を積んでいるかが問われます。そのためには、われわれ教育関係者も、保護者も、「教えすぎないこと」を意識しなければいけません。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら