「娘が鉛のように重い」母がもうダメと悟った瞬間 「不登校の初期」に親ができることとは何か

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不登校の初期、親ができることと避けたほうがいいこととは(写真:マハロ/PIXTA)
少子化といわれるなかでも、不登校は毎年増えつづけています。不登校の初期に親ができることとは? 不登校で傷ついた子ども、その子とともにいて傷つき、疲れはてた親に、「あわてない、せかさない、くらべない」ための処方箋を記した『不登校の歩き方』より一部抜粋し再構成のうえお届けします。
まずは、中学1年生の冬、風邪をひいたことがきっかけで、学校に行けなくなった女の子のエピソードを紹介します。

エピソード:寝ている娘の手をひっぱって無理に起こそうとしたら、体が鉛のように重かった。ああ、これは本当にダメなんだなと思いました。

中学1年の冬、風邪をひいたことがきっかけで、2年3カ月もの間、学校に行けなくなった女の子のお母さん。当初は親としてどうしていいかわからず、おろおろしていたが、それでも「学校に行ってほしい」という気持ちはあった。ところが、ある日、布団に寝ている娘さんの手をひっぱって無理に起こそうとしたとき、これはどうやっても行けないんだと気づいたという。

不登校の初期に親ができること

中学生以上の子どもが不登校になったとき、初期には部屋にひきこもって会話がほとんどできなくなることがよくあります。いわゆる燃え尽きた状態であり心身ともに疲れきって、いちばん身近な家族とも関わりを断つことでようやく安定を保っている状態です。

この段階では本人も原因がよくわからないことが多いのですが、それは混乱していて気持ちの整理がつかず話そうにも話せなかったり、話す気力さえないからです。おそらく直接のきっかけとなった傷つき体験はあると思いますが、初期「何があったの?」と根ほり葉ほり問いつめるのは避けたほうがいいです。

その出来事をあらためて意識し、再体験し、言葉にすることは、非常にストレスフルで、その子をさらに傷つけることになりかねません。

心をカップにたとえると、不登校になった子はカップにたくさん傷がついて穴が開き、エネルギーがもれている状態です。傷口はほんの少しの刺激でも痛むので、外からの刺激に敏感になっていて、誰にもさわられたくないのです。

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