「サウナが高温であればあるほど、その後の水風呂や外気浴が気持ちいい」というのが、多くの日本人サウナ愛好家が好むスタイルであろう。
しかし、高温なサウナ室でさらに焼け石に水をかけると、発生するロウリュはもはや心地よさを通り越し、刺激が強すぎて痛く不快なものに変わってしまう。
つまり本来、「日本人のサウナに対する趣向」と「ロウリュ・メソッド」はあまり相容れないのだ。
日本のサウナでは「深呼吸」ができない?
フィンランド・サウナの平均温度は60〜80度ほどで、入室した時点では、やや物足りなく感じるかもしれない。
それでも最上段ベンチに座ると、天井付近にとどまるパワフルな熱気に身が包まれる(フィンランドでサウナ室を設計する際には、ベンチ最上段の面がストーブの石の位置より高く、かつ天井から110センチの高さに来るのが理想とされている)。
そして先に述べたように、フィンランド人はその位置から驚くほどの頻度でロウリュを行ない、心地よく体感温度を上げる。
「サウナストーブのいちばんの役割は、サウナ室を温めることではなく、力強いロウリュを出し続けられるように石をしっかり温めることだ」とハルユ氏も指摘する。
また、フィンランドのサウナ室の扉の下には10センチ程度の隙間が必ずあり、そこから外気を取り入れて、サウナ室に新鮮な空気がめぐる通気設計になっている。
このおかげで、サウナにどれだけ長居しても息苦しいと感じることはまずない。
室内が熱くなりすぎて酸素不足だと感じるようになったら、しばし扉を全開にしてしっかり換気を行なうことも重要だ。
つねにフレッシュな空気の流れ込むサウナでは、おしゃべりも楽しめるし、深呼吸をしながらリラックスできる。それは我慢とは無縁の心地よさだ。
もしあなたが、日本のサウナでは目鼻や肌がヒリヒリし、呼吸がしづらくて苦手意識を感じているなら、ぜひとも低温高湿で新鮮な空気に満たされたロウリュ・サウナを現地で一度体験してほしい。
サウナの心地よさの概念が大きく変わることだろう。
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