冬のフィンランドで、サウナ浴と併せて老若男女に楽しまれる「アイスホールスイミング」。凍った海や湖の一部を溶かしたり斧で穴を開けて、ほぼ水温ゼロ度の冷水に浸かる究極の寒中水泳だ。
人によっては、文字通りしばし泳いだりもしてしまう。まさに、日本のサウナ愛好家たちに好まれる、「水風呂」のエクストリーム版体験と言えるだろう。
フィンランド国内には、アイスホールスイミングを冬期の趣味とする人たちが集う寒中水泳協会がいくつもあり、とくに昨今、世代を問わず愛好家数が増えている。
話題書『「最新医学エビデンス」と「最高の入浴法」がいっきにわかる!究極の「サウナフルネス」世界最高の教科書』の日本語オリジナル版翻訳を手がけた、フィンランド在住のサウナ文化研究家・こばやし あやな氏が、長年、寒中水泳を実践する現地のプロに、その効能と魅力、気をつけるべきことや初心者へのアドバイスを聞いた。
本場の極意を、ぜひ日本のサウナ体験にも活かしてみてほしい。さらに、近年フィンランドで購買が殺到している、注目の寒中水泳専用グッズも紹介する。
人が寒中水泳にハマる理由とは
フィンランド第3の都市タンペレは、老舗からモダン施設まで新旧さまざまな公衆サウナがたくさん息づき、国内のサウナ協会からも「サウナ首都」の認定を受けている。
同協会市民のサウナ通いが盛んなこの街には、60年以上の歴史を誇るタンペレ寒中水泳協会があり、若者からお年寄りまで420名もの会員が、湖畔で運営する共同サウナを拠点として、積極的に冬のアイスホールスイミングを楽しんでいる。
同協会の副会長を務める実践歴25年のタイナ・ラヤンティ氏に、寒中水泳とサウナにまつわる素朴な疑問をぶつけてみた。
まず気になるのは、現代人がそもそも寒中水泳にハマる理由だ。
今日では(総人口約550万人に対し)約10万人のフィンランド人が、冬の間にアイスホールスイミングを積極的に楽しむといわれる。
少なくとも一度でも体験したことがある人は、50万人を超えるそうだ。
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