人気の「寒中水泳」に学べる"サウナ水風呂"の秘訣 本場フィンランドからの有益アドバイスは?

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寒中スイマー御用達ブランドAvanto Accessoriesの開発した、特殊素材ソックスと手袋(写真:Avanto Acessories社提供)

2022年創業のアヴァント・アクセサリー(Avanto Accessories)社は、昨今の寒中水泳人気を背景に生まれた、寒中スイマー向けの着用アイテム専門ブランドだ(アヴァントは、凍った海や湖に開けたアイスホールを指すフィンランド語)。

創業メンバー自身も、もちろん寒中水泳の愛好家。随分ニッチな商品開発に思われるが、これが現在、国内の愛好家たちの注目を集め、生産が追いつかないくらいの売れ行きを飛ばしている。

現代が「デジタルまみれで多忙な日常生活」だからこそ

主力商品のソックスと手袋は、耐寒性やクッション性を備えた合成ゴムであるネオプレン素材でできている。

着用部分は熱さや冷たさを肌にほとんど伝えないので、アイスホールへの入水時だけでなく、サウナの中でも凍った道の上でもずっと着用していられる画期的アイテムだ。

数々の健康効果が明らかになりつつある寒中水泳は、何より現代のデジタルまみれで多忙な日常生活の中で、精神的な強さと自然への敬意を取り戻せる素晴らしいリフレッシュ行為です。

身体の各部で感じる冷刺激を均一にならすというシンプルな工夫だけで、より多くの人が苦手意識を克服し、良いこと尽くめの寒中水泳を快適に楽しめるはずです」

と、取締役のタトゥ・ヌルミネン氏は話している。

ソックスや手袋を着用すれば、凍った地面を歩いたり冷たいはしごに手をかけるのも楽になる(写真:Avanto Acessories社提供)

専用グッズがなくても、毛糸の靴下や水中靴、ゴム手袋などで手足を守るだけでも、冷水浴のハードルはかなり下がるはずだ。

また、冷水浴中に頭部を冷やさないことも、体調不良の回避に効果がある

そこで、水中で脱げやすいサウナハットではなく、密着度の高いニット帽をサウナや水風呂で被るのもいいだろう。事実、フィンランドの冬のサウナでは、サウナハットの着用率より、ニット帽の着用率のほうが高いのだ。

このような、寒中水泳の本場の国で実践されているさまざまな工夫や注意点を参考にして、日本のサウナに欠かせない水風呂への入浴方法も、今一度見直してみてはいかがだろうか

こばやし あやな サウナ文化研究家、フィンランド在住コーディネーター、翻訳家

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Ayana Kobayashi

1984年岡山県生まれ、大阪・神戸育ち。2011年フィンランドに移住し、現地大学院で芸術教育学を学ぶ。「フィンランド公衆サウナの歴史と意義」というテーマで執筆した論文が学内最優秀論文に選ばれ、2016年にユヴァスキュラ大学修士課程を首席で修了。卒業後に起業し、通翻訳や現地コーディネート業務を続けるかたわら、サウナ文化のエキスパートとして、日フィン両国のメディア出演や講演活動、諸外国の浴場文化のフィールドワークを行なっている。2019年に『公衆サウナの国フィンランド--街と人をあたためる、古くて新しいサードプレイス』、2021年に『クリエイティブサウナの国ニッポン』(ともに学芸出版社)を出版。

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