〈大卒初任給〉準大手ゼネコンの西松建設も30万円、先行する長谷工コーポレーションは31万円で三菱商事や三井物産に迫る

建設業の平均初任給は今や金融や商社を上回る高水準に――。
ゼネコン各社で総合職の大卒初任給を30万円に引き上げる動きが活発化している。あるゼネコン幹部はこの状況を前に「まるで人材獲得“戦争”だ」と笑う。ゼネコン業界はただでさえ人手不足が言われるが、スーパーゼネコンを頂点とするピラミッド構造もあって採用競争が熾烈になりやすい。
「採用状況が厳しい。待遇面で訴求して『西松』に振り向かせたい」。準大手ゼネコン・西松建設の梶川丈夫・前人事課長(現コンプライアンス推進課長)は、今年4月入社の大卒初任給を30万円に引き上げた理由をそう語る。
2023年4月入社の初任給は24万5000円、2024年4月入社は26万5000円だった。前年比での引き上げ率だと2%増、8%増、13%増となり、この3年での伸びが一目瞭然となる。
西松建設ではエントリー数が1.5倍に
西松建設の近年の採用実績は、目標に対して1〜2割程度下回る状況が続いていた。初任給30万円への引き上げを公表したのは昨年10月。スーパーゼネコンよりも早かったため、同社の採用ページや説明会でのアピール材料として活用できたという。
結果、昨年秋から今年1月末までのエントリー数は前年同期比1.5倍に増加。初任給の引き上げ効果に加え、テレビCMやリクルーター制度が奏功したとみられる。高卒採用を約20年ぶりに再開したほか、過去の内定者や1次面接合格以降の辞退者を対象にした「選考経験者優遇採用」も開始した。

ゼネコン業界では昨年2月、マンション専業の長谷工コーポレーションが一足早く初任給30万円への引き上げを発表して注目を集めた。
西松建設の梶川氏は、「長谷工さんが30万円に上げており、遅かれ早かれ他社も当然上げるだろうと考えた。うちとしては思い切って30万円に上げたが、案の定追いつかれた」と話す。
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