ゼネコン各社が軒並み「初任給30万円」の背景事情――準大手の西松建設も初任給30万円、先行する長谷工コーポレーションは31万円に

「まるで人材獲得“戦争”だ」――あるゼネコン幹部が笑いながらそう話すほど、建設業界で初任給の引き上げが加速している。
慢性的な人手不足に加え、スーパーゼネコンを頂点とするピラミッド構造が採用競争を激化させる中、各社はこぞって大卒総合職の初任給を30万円に引き上げる動きを見せている。
ゼネコン業界内で先鞭をつけたのは、マンション専業の長谷工コーポレーションだ。昨年2月にいち早く初任給30万円を発表し、業界に衝撃を与えた。今年4月入社の大卒初任給は31万円。32.5万円の三菱商事に一気に迫ってきた。
スーパーゼネコン5社は2月までに相次いで大卒初任給30万円への引き上げを表明したが、いち早く昨年10月の時点で公表していた企業がある。準大手ゼネコンの西松建設だ。
西松建設ではエントリー数が1.5倍に
「採用状況が厳しい。待遇面で訴求して『西松』に振り向かせたい」。西松建設の梶川丈夫・前人事課長(現コンプライアンス推進課長)は、大卒初任給を30万円に引き上げた理由をそう語る。
引き上げの公表がスーパーゼネコンよりも早かったため、同社の採用ページや説明会でのアピール材料として活用できたという。

結果、昨年秋から今年1月末までのエントリー数は前年同期比1.5倍に増加。初任給の引き上げ効果に加え、テレビCMやリクルーター制度が奏功したとみられる。
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