「82歳で“マタギの頭領”を引退」「88歳までチェーンソーを自在に操り…」秋田で1人暮らしの92歳が《伝説のマタギ》と呼ばれているワケ

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伝説のマタギ
松橋吉太郎さん、92歳。82歳までマタギの頭領を務めた(写真:本人提供)
これから人は100年生きるという。しかし、お金や孤独、健康不安がなく老後を迎えられる人はどれくらいいるだろう。年を取ることが怖いーー。
多くの人が漠然とした不安を抱く中、老後の人生こそ謳歌している人もいる。その元気は、気力は、生きがいは、いったいどのようにして手に入れたのか。
本連載では、“後期高齢者”になってなお輝いている先達に、老後をサバイブするヒントを聞く。

父は「鉄砲撃ちの名人」として鳴らした

春の山菜採りや行楽シーズンが始まり、全国各地で冬眠明けの熊が相次いで目撃されている。餌を求めて活動が活発化しているのだ。

ツキノワグマの目撃情報が例年を大きく上回った秋田県では、5月8日に「ツキノワグマ出没警報」を発令して、県内全域に注意を呼び掛けている。

そして、ここ数年、熊害の対策とともに注目されているのが、伝統的な狩猟方法で熊を追い続けてきた「マタギ」たちである。

秋田県北秋田市の最南部、マタギの里として有名な阿仁地区比立内(ひたちない)に住む松橋吉太郎さん(92歳)は、「伝説のマタギ」として比立内マタギの歴史に名を残す1人だ。

マタギの頭領の座である「シカリ」を30年余りも務め、山と猟の達人マタギ集団を束ねてきた。

「俺の人生の生きがいは熊獲り。熊と勝負して、鉄砲一発で仕留めたときが最高に気持ちいいな」

名マタギは朗らかに笑って、スポーツドリンクをぐびっと飲み干す。

【写真を見る】カッコいい…! 《伝説のマタギ》松橋さんの「20歳の頃」と「現役すぎる今の姿」(8枚)
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