
父は「鉄砲撃ちの名人」として鳴らした
春の山菜採りや行楽シーズンが始まり、全国各地で冬眠明けの熊が相次いで目撃されている。餌を求めて活動が活発化しているのだ。
ツキノワグマの目撃情報が例年を大きく上回った秋田県では、5月8日に「ツキノワグマ出没警報」を発令して、県内全域に注意を呼び掛けている。
そして、ここ数年、熊害の対策とともに注目されているのが、伝統的な狩猟方法で熊を追い続けてきた「マタギ」たちである。
秋田県北秋田市の最南部、マタギの里として有名な阿仁地区比立内(ひたちない)に住む松橋吉太郎さん(92歳)は、「伝説のマタギ」として比立内マタギの歴史に名を残す1人だ。
マタギの頭領の座である「シカリ」を30年余りも務め、山と猟の達人マタギ集団を束ねてきた。
「俺の人生の生きがいは熊獲り。熊と勝負して、鉄砲一発で仕留めたときが最高に気持ちいいな」
名マタギは朗らかに笑って、スポーツドリンクをぐびっと飲み干す。
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