「残りはこいつに聞いて」 《自分そっくりアンドロイド》で脚光の阪大教授、取材時間オーバーで退室→ロボットに対応引き継ぎで見た"驚愕の光景"
本連載ではそういった、ある意味で“芸能人より有名な一般人”を取材。
その半生や素顔、大切にしている考え方などを掘り下げ、“バズ”や注目と地続きの「実像」と「人生観」を掘り下げていく。
「これ、石黒さんご本人じゃないですか」
話し方も、目線も、口元の動きさえもそっくりだ。そこに座るアンドロイドは、ロボット研究の第一人者で大阪大学大学院基礎工学研究科教授を務める石黒浩さん──の“分身”だという。
幼い頃に「人の心はどこにあるのか」と疑問を抱いた少年は、自分そっくりのアンドロイドをつくり、問い続けてきた。
果たして、ロボットに「心」は宿るのか。人間とは、いったい何者なのか。インタビュー後編では、石黒さんが見つめる「心」の正体と「人間の未来」に迫る。また最後には、石黒さんのアンドロイド「ジェミノイドHI-6」へのインタビューも敢行。“彼”が語った驚きの内容とは――。
対峙する相手によって、振る舞いを変えるロボット
――アンドロイドの研究開発は今、どこまで進んでいるのでしょうか。
石黒:まだ進化は必要ですが、25年以上の研究で見えてきたことはたくさんあります。たとえば、どうすれば人間っぽく見えるのか。ここに、僕の分身ともいえるアンドロイド『ジェミノイドHI-6』がいますが、彼は僕の考えを話すことができます。研究室の学生たちが過去の僕の発言やインタビュー記事、書籍などを整理して、データベースをつくっているんです。
それを基に、単なる録音再生ではなく、文脈に応じて知識を再構成して話している。それが人間らしい対話につながっています。
――表情や動作はどうしているのでしょう。
石黒:人の振る舞いは、相手や関係性によって変わります。だから「誰にどう振る舞うか」をデザインしています。人間って、相手によって自然に人格を切り替えているんですよ。あなたも、教師の前の自分と、友人の前の自分は違うでしょう? それが人間の柔軟さなんです。
だからアンドロイドも、状況や相手に合わせて振る舞いを変える必要があります。人と人との会話は、関係性や相互作用そのものをデザインしなければ成り立ちません。



















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