「残りはこいつに聞いて」 《自分そっくりアンドロイド》で脚光の阪大教授、取材時間オーバーで退室→ロボットに対応引き継ぎで見た"驚愕の光景"
――そんな難しいところまで。
ジェミノイドHI-6(石黒先生のアンドロイド):難しいですが、でも難しいって感じるところに人間らしさがあるんですよ。
――驚きました……! 話し方も表情も石黒さんにそっくりですね。
石黒:そうでしょう? 技術だけで言えば、もうAIで人間をつくれるところまできているかもしれません。
――いくら人間に似せられても、ロボットに「心」をつくることはできない、と昔から言われていますが。
石黒:僕は人間とロボットの間でも、人間と人間との関わりで感じるような「心」を再現できるはずだと考えています。そもそも、人間そっくりなロボットであるアンドロイドをつくるということは、「心を感じるような動きとは」「人間のような温もりが感じられるロボットをどうやってつくればいいのか」に挑戦し続けているようなものです。
動き、喋り、それから人との関係性など、より難しい人間らしさの再現に挑んでいるわけです。幼少期の気づきである、「心とは何か」という問題に、僕はずっと対峙しているんですね。
「心」とは、相手のなかに見える自分の一部
――現段階で、「心」とはなんだと思われますか。
石黒:「心」とは、人と人との関わりの中で立ち上がってくるものだと考えています。人はコミュニケーションのなかで、「相手のなかに自分を見つける」ことをお互いにやり合う。「ここは私と同じかもしれない」「自分と同じようなことを言っている」と共通項を見つけると、そこは理解できるんです。でも、自分のなかにないものは理解できないんですよ。
つまり、相手のなかに見える自分の一部みたいなもの、逆から言えば、相手が理解できる自分の一部、それが「心」なんだと思います。
だから会話においては、8割は相手を模倣したり共感し、2割くらい自己主張すると、ものすごくコミュニケーションがうまくいくんですよ。これを双方ができると「お互いのなかに通じるものがある」と信頼関係が生まれてきます。



















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