画家を目指すも大学で挫折→30年後に「マツコロイド」で脚光 《自分そっくりアンドロイド》でおなじみ、名物ロボット学者が語る"気づき"の大切さ
本連載ではそういった、ある意味で“芸能人より有名な一般人”を取材。
その半生や素顔、大切にしている考え方などを掘り下げ、“バズ”や注目と地続きの「実像」と「人生観」を掘り下げていく。
授業中に絵を描いてばかりいた少年が、「人間とは何か」という疑問に突き動かされ、人型ロボット研究の第一人者になる――。そんな未来を誰が想像しただろうか。
「『気づき』とは、世界から面白さを見つける力」……そう語るのは、タレントのマツコ・デラックスさんを模した「マツコロイド」など人間そっくりのロボット=アンドロイドの研究・開発を続ける大阪大学大学院基礎工学研究科教授・石黒浩さんだ。テレビ番組などで、そのお顔や活躍ぶりを見たことがある人も少なくないだろう。
昨今では大阪・関西万博で、日本人がモノにいのちを宿してきた歴史、人間がアンドロイドと共存する50年後の未来、人間が「死なない身体」を手に入れた1000年後と、3つのゾーンが体験できる『いのちの未来』パビリオンのプロデュースを担当したことでも話題になった。
その原点は、「人の心はどこにあるのか」「人間とは何か」という疑問を持ち、向き合った少年時代にある。インタビュー前編では、幼少期から彼が育んできた観察力と探究心のルーツをたどる。
絵を描くのが大好き。「勝つために全力」の少年時代
――今では常に冷静な印象のある石黒さんですが、幼少期は、先生のいうことを全く聞かない少年だったとか。
石黒:先生の話がつまらなかったんでしょうね(笑)。小学校1、2年生の頃は授業中に絵ばっかり描いて勉強しないもんだから、母親を泣かせていました。植物とか風景とか、もうそこらじゅう、目に入ったものはなんでも描いてましたね。
――絵は習っていたんですか?
石黒:全然。でも、知事賞とか、なにがしかの賞はもらっていました。絵に限らず、書道や彫刻でも。昔はそうやって展覧会に出される機会が多かったですから。



















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