画家を目指すも大学で挫折→30年後に「マツコロイド」で脚光 《自分そっくりアンドロイド》でおなじみ、名物ロボット学者が語る"気づき"の大切さ
――ご自身も、そのくらい努力をされたことがありますか。
石黒:大阪大学の大学院で博士号を取る研究テーマを考えたときですね。元々アイデアを出すのは得意だったんですが、コンピューターやロボットの分野で「いくらでもアイデアが出せる」と確信を持てるようになったのは、あのときからです。
――博士号の研究テーマはどのようなものだったんでしょう。
石黒:今では実用化されていますが、人間の目のように動かせる、360度を見られるカメラです。当時のロボットは目が動いておらず、「どういう動かし方をすればいいのか」が研究テーマになったんです。ただ見られるだけではなくて、「360度ぐるっと見られるということは、人間にとってどんな意味があるのか」「自分の位置を確かめる意味とはなんなのか」など、ある種哲学的な問いを必死で突き詰めました。命をかけて。
――命をかけて。
石黒:命がけでがんばるくらいのことをしないと、結果は出ません。解く問題が難しくなると、自分の命と秤にかけたときに、「自分の命より軽い努力をしていて、本当に答えが見つかるのか」と思うようになりませんか?
努力の量は命を“半分削る”ではなく“全部削る”でなければならない。あくまでたとえですが、それぐらい努力したら、大きな結果が得られる気がします。
「できなかったら死ぬ」覚悟で震えるほど考え続けた
――命を全部削る努力とは。
石黒:本気で死ぬ覚悟をするということです。死ぬか生きるか。当時は、「できなかったら死ぬ」と本当に思っていました。だから朝から晩まで考えているうちに、1カ月くらい身体の震えが止まらなくなった。それでも考え続けた結果、答えが見つかって、そこから楽になりましたけどね。命がけってそういうことなんです。
起業して成功されている方も、きっとそれくらいの覚悟を持っていますよね。リスクを取る覚悟があるからこそ、成功するんです。必要なのはその覚悟です。そういったレベルで努力していないから、実らないんです。



















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