画家を目指すも大学で挫折→30年後に「マツコロイド」で脚光 《自分そっくりアンドロイド》でおなじみ、名物ロボット学者が語る"気づき"の大切さ

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――そうか。面白いことって、その面白さに気づかないといけないんですね。石黒さんが最近見つけた面白いことはなんでしょう。

石黒:いや、だんだん面白いことがなくなってきたかもしれない。それはそうですよね。簡単なことは見つけきっていますから。まだ知らないこと、自分が気づかなかったことこそ面白い。ですから、経験を積めば積むほど、そういうものに出会うのは難しくなるんです。

とはいえ、やっぱり人とこうやって話していると、どういう思考でしゃべっているんだろうと考えるのはめっちゃ面白いですけどね。

――じゃあ、私が何を考えているかも……?

石黒:ええ。ビー玉を使った遊びの話をしたときに突っ込まなかったけど、どういう想像していたんだろうとか。さっき面白いと感じたのは、あなたが「面白いことは誰でも気づくものだ」とこれまで思われてきたと知ったことです。かなりびっくりしました。

考えてもみてください。たとえばこの机を見て、「どういう分子で構成されているのかな?」って考えますか? それ、面白いですか?

――考えないし、面白くないです。

石黒:でしょう? でも、分子の研究をしている人は考えるし、めちゃくちゃ面白く感じるものなんです。だから、“面白いことは誰でも気づける”なんて、どうして思うのかなと。学ばないと面白いことは見つからない。いろんなことに深くしつこく興味を持たないと。しかも、それを人に聞いて気づくんじゃなくて、自分で見つけないと面白くない。

常に「3m後ろから」自分を見ている感覚

――今のお話にもつながると思うのですが、子どもの頃から物事を一歩引いた目線で見ていたそうですね。

石黒:確かに、それはありますね。あなたは、自分の意識ってどこにあると思いますか?

――このへんでしょうか?(後頭部の斜め上辺りを指す)

石黒:僕はそれよりだいぶ後ろにあるような気がするんです。1mか、ヘタすると3mくらい後ろにあって。そこからしゃべっている自分を見ている気がしています。ゲームの世界を見ているみたいな感覚です。

――そこから、自分というキャラクターをコントロールしている感じですか?

石黒:勝手に動いているやつが前にいるなって感じですね。コントロールなんてできません。今、「何をどう話そうか」と考えて話してます? 勝手に話してるでしょう。「こいつ、勝手に動いてて大丈夫かな?」とかって思いません?

――思います。心配になりますね。

石黒:そうでしょう。小さな頃から割とそういうものの見方をしてたなっていう感じがします。

石黒教授
幼い頃の話をする石黒さんは、どこか優しくあどけない表情になる(撮影:ワダハルキ)
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