画家を目指すも大学で挫折→30年後に「マツコロイド」で脚光 《自分そっくりアンドロイド》でおなじみ、名物ロボット学者が語る"気づき"の大切さ

✎ 1 ✎ 2
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

――大阪大学大学院の教授でいらっしゃいますが、学生さんにも覚悟について教えられていますか。

石黒:学校はリスクなしで教えてもらえる環境なので難しいですね。リスクの取り方を教えるわけにもいかないけれど、社会に出る前に学ぶ必要はあると思います。まあでも、リスクを取るような人間ばかりだと、とんでもない世の中になっちゃいますよ。だから8割の人間は取らなくていいかもしれません。普通に安全に生きていい。

僕の話を聞いても真似しようとしないで、エンタメの1つだと思って聞いていただけたら。……でもそういうと、高飛車なことを言っていると思われるかもしれませんね。困るなあ。人の心は難しいものです。

アンドロイド
アンドロイドの手元。血管や爪まで精緻なつくりになっている(撮影:ワダハルキ)

「心」はどこにあるのか? ロボット研究の原点

――石黒さんのロボット研究の根っこには、「心とは何か」「人間とは何か」「自分とは何か」という根源的な問いがあると聞きました。

石黒:そこも、さきほどの気づきの話につながっています。幼少期、周囲の大人に「人の気持ちを考えろ」と言われて、「気持ちって何?」「人の気持ちを考えるってどうするの?」と思ったんです。それが気づくっていうことですよ。そんなふうに思わなかったですか?

――そうですね。

石黒:ね、気づいてないんですよね。みんな気づいてないんです。心のカタチを見たことあるんですか? 見たこともないのに、心という言葉を使っている。何も知らないのに。

――うっかり使っていましたね。軽率でした……。人の気持ちがわからないものだと気がついて、そこから「人間ってなんなのかな」という疑問が生まれたのですか?

石黒:そこはずっと変わらず持っている疑問です。ロボット研究の土台になってはいます。でも何をやっていたとしても、基盤になったと思います。だって、“自分”って、よくわからないじゃないですか。自分がどこにいるか、どこに意識があるかも指をさせないんですから。

***

壮大なテーマに目を背けることなく、真摯に向き合ってこられた石黒さん。インタビュー後編では、ロボットやアンドロイドをつくりはじめて見えてきた「人間」や「心」についての話をお聞きします。

アンドロイド
後編では、恐ろしいほど人間味を帯びたアンドロイドへの“インタビュー”も決行! 果たしてどんな受けごたえをしてくれたのか……!?(撮影:ワダハルキ)
【あわせて読みたい】
「残りはこいつに聞いて」 《自分そっくりアンドロイド》で脚光の阪大教授、取材時間オーバーで退室→ロボットに対応引き継ぎで見た"驚愕の光景"
笹間 聖子 フリーライター・編集者

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

ささま・せいこ / Seiko Sasama

フリーライター、時々編集者。おもなジャンルは企業ストーリー、ビジネス、幼児教育、発酵。編集プロダクション2社を経て2019年に独立。ホテル業界誌で17年執筆を続けており、企業と経営者の取材経験多数。「プレジデント・オンライン」「ダイヤモンド・チェーンストア・オンライン」「月刊ホテレス」「FQ Kids」などで執筆。企業noteのライター、ブックライターとしても活動。大阪在住。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事