少子化に対する国や自治体の取り組みもさまざまですが、2025年11月に大阪府が立ち上げた少子化対策を考える会議において、少子化の要因には「結婚の壁」「1人目の出産の壁」「2人目の出産の壁」という3つの壁があると分析し、それらの壁の原因や対策を検討すると発表しました。
大阪府の吉村知事は、特に「結婚の壁」について重点的に対応を考える旨の示唆もしていますが、これは少子化対策として実に的を射た課題認識であり、個人的には「やっと入口にたどり着いたか」という感想を持ちます。
とかく少子化対策といえば、こども家庭庁を中心に「子育て支援」に偏重したメニューが多かったことは事実です。もちろん、子育て支援そのものは大事ですし、決して否定するものではありませんが、いくら子育て支援を充実させても、それによって出生数が改善されることはないというのもまた今までの事実が明らかにしています。
出生率の低下の大部分は未婚化によって説明できる
2024年の合計特殊出生率は1.15にまで低下しましたが、この出生率の低下の大部分は未婚化によって説明できます。出生率計算の分母には未婚者も含まれるので、未婚が増えれば増えるほど値としては下がるものだからです。
実際、母親が産む子どもの数は、1980年代と比較しても大差はなく、出生率が低下し続けているのは、増え続ける未婚率と相関するものです。出生率との関連でいうならば、「1人目の出産の壁」いうべき第一子の出生率の低下が全体を押し下げていることに尽きます(詳しくは、こちらの記事参照→『「もう1人産みましょう」にあまり効果はない…日本の出生数が過去最少になった「本当の原因」』)。
「1人目の出産の壁」とは自動的に「結婚の壁」ということになります。つまり、結婚が増えなければ子どもの数は増えないということであり、どれだけ今いる夫婦が2人目や3人目を産んだとしても、1人目を生み出す結婚が生じなければ益々出生率は激減するばかりです。大事なのはこの「ゼロから1人」を生み出すことであり、ゼロを抑制しなければ、1人目も絶対にないし、当然、2人目、3人目も永久に生まれません。



















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