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脱炭素のワンストップサービスで急成長し、M&Aや海外進出も積極的なクライメートテック「アスエネ」の次の一手

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アスエネは今年7月、三井住友銀行から温室効果ガス排出量算定・削減支援サービスを譲受した。自社サービスと統合し顧客基盤の拡大を進める。左がアスエネの西和田浩平CEO (編集部撮影)

脱炭素規制が各国で強まるなか、企業にとってCO2などの温室効果ガス(GHG)排出量の算定・開示は避けられなくなっている。

生成AIの登場に加えて、金融引き締めによる資金調達の難しさ、イグジット環境の変化など……スタートアップをめぐる環境は大きく変化している。週刊東洋経済の恒例特集「すごいベンチャー」を連載化。連載の一覧はこちら

事業活動で自社が直接排出する「スコープ1」、電力の使用など間接的に排出する「スコープ2」は元より、原材料の製造・輸送から製品の流通・使用・廃棄まで自社のサプライチェーン(供給網)の上流・下流における排出量を示す「スコープ3」のデータ収集は、多くの企業にとって負荷が大きい。

2019年に設立されたクライメートテックのアスエネはこのGHGの算定・可視化・削減をクラウド上で支援するサービスを展開する。制度対応を急ぐ国内外の企業からの需要増を追い風に、海外も含む累計利用企業は3万社を超えた。

米国企業M&Aで北米市場攻略を加速

同社は近年M&Aを通じた機能強化に取り組む。国内で4件のM&Aを実施し、海外でも積極的に動く。25年5月にアメリカでAIを用いたエネルギーマネジメントサービスを展開する NZero(エヌゼロ)、10月にはメタン排出量管理に強みを持つアメリカ企業・ Iconic Air(アイコニック・エア)を傘下に収めた。

メタンはCO2の約25倍の温室効果を持つため、石油・ガスや化学、廃棄物分野を中心に規制が急拡大中だ。アスエネはCO2とメタンの双方を扱える体制を整え、北米市場での対応力を早期に固めたといえる。

金融領域との連携も進展する。25年7月には三井住友銀行(SMBC)が展開していたGHG排出量算定サービス「Sustana」(サスタナ)事業を譲り受けた。SMBCはアスエネに約10%を出資する株主でもあるが、大企業の事業をスタートアップが譲り受けるのは珍しい。

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