ネズミがごみを食い荒らし糞が散乱、無数のコバエが顔にぶつかる…「ごみ収集現場」新宿区長がガチ体験した"結果"

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ごみ収集現場
新宿区長は、他の現場と比較してかなりきつい「ガチ」現場でごみ収集を体験した(筆者撮影)
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自治体の首長のごみ収集体験が時々話題になる。これには、自らが管轄する業務について、役所内の会議や報告書では把握できない現場の状況を、自らの目で確認し理解して住民サービスを向上させていく点に意味がある。

本連載でも千代田区の樋口高顕区長がごみ収集を体験し、現場の実態を把握した記事を掲載(『千代田区長、自ら清掃業務を担当して見えるもの』)した。要職者が現場視察でなく実際に体験することは、現場への理解を深めるだけでなく、そこで働く人の士気向上にもつながり、自治体経営において現場との距離を縮める取り組みは、住民満足度アップにもつながる取り組みだ。

大概は「視察者用コース」を用意

ごみ収集業務の体験は、管理職の自発的な志願や、新人職員研修でも実施されている。筆者は所属大学で自治体へのインターンシップの授業を担当しており、清掃事務所に配属される場合はごみ収集業務の体験を組み込んでいただいている。

視察や体験を受け入れる清掃部署側は、業務に慣れていない視察者が作業中に怪我をしないように、「視察者用コース」を用意することが一般的だ。車の通行が少ない箇所や、ごみ排出がしっかりとなされている地区を選び、安全に業務を完結できるような配慮が施された現場で体験が行われる。いわば“お客さん扱い”で受け入れ、模範的な状態の集積所に排出されたごみ袋をごみ収集車に積み込んでいくようなコースが用意される。

しかしこのような“お客さん扱い”では、本当に清掃事業を理解したとは言い切れない。過酷な収集現場(「ガチ」現場)を経験してこそ全体が俯瞰でき、清掃事業の全体を把握できるようになる。

朝礼で挨拶をする吉住区長
朝礼であいさつをする吉住区長(筆者撮影)

新宿区の吉住健一区長は東京23区の区長で構成される特別区長会の会長であり、清掃工場を運営する東京二十三区清掃一部事務組合の管理者でもある。ごみの分別や資源化を23区全体で推進させていく立場もあり、自区の取り組みはしっかりと把握しておく必要がある。

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