斜面を上って、下って、また上って…。平均年齢55歳が支える長崎・佐世保の「人力ごみ収集」、知られざる「引き出し作業」体験ルポ

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引出作業
収集車の入れない斜面住宅地から出されたごみを集める「引き出し作業」は、体力を消耗する過酷な仕事だ(写真:筆者撮影)

長崎県佐世保市には、山の斜面に住宅が建ち並ぶエリアがある。これら斜面地住宅から排出されたごみは、「引き出し収集」で回収されている。

このほど、懇意になった佐世保市の清掃職員の小川真一郎氏の取り計らいで引き出し収集作業を体験させてもらった。その過酷な収集体験から、佐世保市の引き出し収集の実態を述べるとともに、特殊な行政サービスの継続的な提供の視点から今後のあり方について述べていく。

引き出し収集の工夫とノウハウ

かつて、基地や造船を中心とした産業の発展により急激な人口増加が進んだ佐世保市。その結果、佐世保湾を囲む傾斜地にも市街地が広がり、狭い坂道や階段沿いに住宅開発が進んでいった。

坂のまち
斜面に建ち並ぶ住宅地。車が入れない階段や坂道が入り組んでいる(写真:筆者撮影)

だが斜面地住宅まで、ごみ収集の車両は入っていけない。車両が通れる道路までは距離があるため、住民は傾斜地に設置した「ごみステーション」にごみを出す。そのごみを、清掃車が乗り付けられる道路まで、狭い坂道や階段を通りながら引き出す作業を「引き出し収集」という。

佐世保市では収集業務の民間委託を進めており、道路沿いのステーションは委託業者が収集する(路線収集)。しかし、傾斜地の引き出し収集については佐世保市の清掃職員が担当している。現在は4tの収集車と軽ダンプ車の運転士2名、作業員6名の計8名が1つの班として、3班体制で758カ所のステーションを回って引き出し収集を行っている。

【写真】体力勝負!知られざる「引き出し収集」の現場(19枚)
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