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「今回の取り組みは、単なる打ち上げ契約ではない。日本の民間企業の力で月まで輸送できる体制を構築することは、日本の安全保障上で大きな意義がある」
同日、三菱重工との共同会見を開いたispaceの袴田武史CEO(最高経営責任者)は、そう述べた。
「比較したうえでの選択」と強調
そもそもファルコン9は打ち上げの需給が逼迫しており、新規の受注を停止しているとされる。ただ、袴田氏は「H3を”選定”した」と強調。「他社のロケット(ファルコン9)と比較検討したうえで、ベストな方にした」と説明した。この言葉どおりに受け止めれば、ispaceはファルコン9の打ち上げ枠の確保も十分に可能だった中で、あえてH3に決めたことになる。
ispaceは過去2回のミッションでは、いずれもファルコン9を使ってランダーを打ち上げてきた。今回のミッション3で使用する新型ランダー「ウルトラ」は従来比で約7倍となる最大200kgの輸送能力を備えており、大型化している。
そうした事情も踏まえつつ、氏家亮CTO(最高技術責任者)は「ランダーには着陸船特有の足があり、ロケットの搭載エリアのかさ上げが必要になる。H3は柔軟に対応していただける」などと、技術面の利点を話す。
コスト面ではどうか。ファルコン9は、いち早くロケットの一部の再使用を実現して打ち上げ価格を大幅に引き下げ、世界をリードしてきた。日本のH3はファルコン9を追って、コスト低減に注力している。
会見では、「どちらの打ち上げ費用が安いか」との質問が飛んだ。袴田氏は「直接的な比較は差し控えるが、スペースXの価格は米ドルになるので円安の影響はある」と答えるのにとどめ、明言は避けた。
今回の選択には、現実的な懸念もある。
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