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親方日の丸「H3」ロケット、低価格実現しても勝てない理由/"キャッシュフロー創出力の差"が示す「負け筋」の必然

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打ち上げに失敗したH3の8号機。早急な立て直しを迫られている(写真:JAXA)

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2025年12月に8号機の打ち上げが失敗し、運用停止中の日本の基幹ロケット「H3」。原因究明を進めていたJAXA(宇宙航空研究開発機構)と三菱重工業は再発防止策を講じたうえで、まずは人工衛星を搭載しない試験機で6月にも打ち上げを再開する。

8号機以前は、初号機の打ち上げには失敗したものの、その後は5回連続で成功。実績を積み上げている途上だった。2回目の失敗は手痛く、立て直しには時間がかかりそうだ。国際的な競争でさらに後れを取るおそれがある。

もっとも、高い信頼性(一般的には打ち上げ成功率95%以上)は競争のスタートラインに立つための最低条件にすぎない。そのハードルを今後クリアできたとして、そもそもH3に「勝ち筋」自体が本当にあるのか。「稼ぐ力」に焦点を当てると、浮かんできたのは逆に「負け筋」の懸念のほうだった。 

三菱重工やJAXAは「勝ち筋」を強調 

ロケット市場では現状、アメリカ・スペースXの「ファルコン9」が独走している。25年の世界のロケット打ち上げ回数は324回だったが、ファルコン9は半分強の165回を占めた。一方、日本の打ち上げはH3が3回(うち失敗1回)、先代のH2Aが1回の計4回にとどまる。 

H2Aは98%の成功率を誇ったが、ロケットの第1段ブースターの回収・再使用を実現して大幅なコストダウンを達成したファルコン9と比べ、価格競争力がなかった。ペイロード(積み荷)1kg当たりの輸送価格は、推定でファルコン9が2000ドル台後半~3000ドル台前半なのに対し、H2Aは7000~9000ドル程度。およそ2~3倍もの価格差をつけられていた。 

この差を埋めるべく、H3では自動車用の電子部品など既製の民生品を流用。価格をH2Aの半分に抑える目標を掲げている。 三菱重工の江口雅之・常務執行役員はかねて、H3の2号機打ち上げ成功後のJAXAなどとの共同会見で、コスト低減が順調に進むことを前提に「ファルコン9に対しても競争力のある価格帯にできる」と説明してきた。

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【H3に浮かび上がる不都合な真実】

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