ロウリュで「体感温度の変化」を楽しむ
サウナベンチに座る時間を、単調な「我慢大会」時間で終わらせないためには、定期的な変化や刺激が必要になる。
たとえば、ドイツ式サウナでは、定時にスタッフが入室してきて、入浴者に向けて大きなタオルをアクロバティックに振り仰ぎ、熱気を撹拌させつつショータイムを楽しんでもらう「アウフグース」と呼ばれるサービスが人気だ。
だが、フィンランド・サウナでアウフグースはまったくお目にかからない。
フィンランド人がサウナ浴の時間に最も重視するのが、前回の記事「誤解だらけ?「フィンランド式サウナ」意外な真実」でも紹介した「ロウリュ」メソッドだ。
ベンチには水を張った桶と柄杓が必ずあり、入浴者自身がストーブ上の焼け石に水を打つ。
すると、石の表面から噴出した熱々の蒸気が大きく対流し、入浴者の素肌をなめる。
この蒸気のことを、フィンランド語で「ロウリュ」(löyly)と呼ぶ。
ロウリュが身体を包むとき、さもサウナ室の温度が上昇したように感じるが、じつは「室温自体」は変化していない。熱気の中に湿気が混じったことで、瞬間的に私たちの「体感温度」が上がるのだ。
そよ風のように揺れ動いて身体を火照らせ、そのまますうっとどこかへ消えていく刹那のロウリュの心地よさは、やはり格別だ。
このロウリュの快感に身を委ねるために、フィンランド人はとにかく頻繁に水を打つ。日本人には信じられないかもしれないが、「30秒〜1分間隔でロウリュする」のも普通なのだ。
ロウリュの熱気を心地よいと感じるためには、基本室温を上げすぎるのは絶対NGだ。
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