五感を意識的に活用する「サウナフルネス」というのは、サウナ室の中で「目に映るもの」「耳に聞こえる音」「鼻孔をくすぐる香り」「肌が感じる熱刺激」など1つひとつの要素に自分から意識を傾け、自身の身体がそれらをどう感じているのか、自問自答していく作業のことだ。
テレビや時計とにらめっこしながら漠然と熱に耐え続けるのではなく、薪ストーブの炎、ロウリュの蒸発音や熱の対流を、自身の感覚器を通じて「積極的に」感じ取ってみよう。
また、温度や湿度が自分にとって最適かどうか、そろそろサウナから出るべきかどうかも、温度計や時計に判定を委ねるのではなく、自分自身の身体感覚に問いかけて、素直に従ってみよう。
「マインドフルネス」と聞くと、実際どんな訓練が必要なのかと思い悩む人もいるだろう。
けれど、シンプルに「自分の内声」に耳を傾けて、「サウナ室での心地よさ」を能動的に受け止めようとするだけでも、脳は十分にリラックスし、自然とストレスも軽減されるのだ。
サウナ室内で「おしゃべり」を解禁してみる
日本では、コロナ禍で「黙浴」が徹底されるようになり、今なおサウナ室内での会話を強く禁止する施設がほとんどである。こればかりは、社会情勢や客の要望に基づく施設の方針なので、変えるべきだとは強く言えない。
けれどフィンランド人の間では、サウナの中で誰かと会話をすることが、「セラピーの一種」として捉えられている。
フィンランドの公衆サウナでは、客同士がおしゃべりに興じるのがごく当たり前の光景で、コロナ禍ですら会話を禁止するような触書はなかった。
ひとり静かにサウナに入りたければ、自宅やコテージのサウナに籠もればいい。公衆サウナには、そもそも「誰かとの会話を目的」に訪れる客が少なくないのだ。
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