「水風呂にこだわる"サウナ好き"」の超残念な盲点 「我慢するサウナ」から「快楽を増すサウナ」へ

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久しぶりに会う知人、何かあって落ち込んでいる友人などをサウナに誘うことも珍しくない。

つまりサウナは、日本人にとっての居酒屋での「飲みニケーション」と同様、積もる話や赤裸々な本音を語らうための「社交場としての機能」を果たしている。

フィンランドでは、男女でサウナに行くことも日常的。「社交場としての機能」を果たしている(写真提供:こばやし あやなさん)

サウナで身も心も裸になり、しかも心地よい蒸気を浴びて心が穏やかになると、他者のかけてくれる言葉が琴線に触れやすく、また、普段はあまりしないような内省的な話もつい口にしてしまう。

さらに、見知らぬ客同士でも、「ロウリュしていいですか?」という挨拶をきっかけに、不思議と深い話まで弾んでしまうことがよくある。

他者交流は「サウナ体験」を決定的に左右する

ハルユ氏は同著書内で、「サウナでの他者との交流は、そのサウナ体験が成功だったと思えるかどうかを左右する大事な要素のひとつ。たとえサウナ施設自体が凡庸だったとしても、そこでの交流がサウナ体験を5つ星級にすることだってある」と述べている。 

日本でも、たとえば個室サウナアウトドアサウナに、まずは気の置けない友人を誘ってみてはどうか。

話題の新刊『究極の「サウナフルネス」世界最高の教科書』の著者カリタ・ハルユ氏(サウナ・フロム・フィンランド協会会長)も<サウナでの他者との交流は、そのサウナ体験が成功だったと思えるかどうかを左右する大事な要素のひとつ>と著書の中で詳しく解説している(写真提供:こばやし あやなさん)

誰かと一緒にロウリュの快感を共にすることでシンパシーが生まれ、腹を割った話もできて、「ととのう」以上にスッキリできるかもしれない。

サウナ室で心地よくおしゃべりを続けるためにも、くれぐれも室温を上げすぎないこと、室内につねに新鮮な空気を取り込むことは、徹底しよう。

そして言うまでもなく、他者の迷惑にならないボリュームやマナーは忘れずに。

こばやし あやな サウナ文化研究家、フィンランド在住コーディネーター、翻訳家

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Ayana Kobayashi

1984年岡山県生まれ、大阪・神戸育ち。2011年フィンランドに移住し、現地大学院で芸術教育学を学ぶ。「フィンランド公衆サウナの歴史と意義」というテーマで執筆した論文が学内最優秀論文に選ばれ、2016年にユヴァスキュラ大学修士課程を首席で修了。卒業後に起業し、通翻訳や現地コーディネート業務を続けるかたわら、サウナ文化のエキスパートとして、日フィン両国のメディア出演や講演活動、諸外国の浴場文化のフィールドワークを行なっている。2019年に『公衆サウナの国フィンランド--街と人をあたためる、古くて新しいサードプレイス』、2021年に『クリエイティブサウナの国ニッポン』(ともに学芸出版社)を出版。

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