「旅先不調にすぐ効く」薬剤師が勧める漢方&ツボ 二日酔い・胃もたれ・眠れないなど症状別に紹介

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一方、食べ過ぎたり、水が合わなかったりすると、お腹がゴロゴロします。最悪、下痢になることもあります。この場合は、半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)がお勧めです。冷えて下痢をするタイプなら真武湯(しんぶとう)を使います。

最初に挙げた五苓散も下痢に効きます。この場合の下痢は、嘔吐を伴うものです。食中毒などが考えられる場合の下痢は、原則、下痢止めなどで止めてはいけないのですが、漢方薬は飲むことができます。

冷房強くて寒気が…というときは?

寒気・風邪の引き始め

旅行中の無理がたたったり、思いのほか冷房が強かったりして、寒気が……ということはよくあるものです。

風邪の引き始めであれば、葛根湯(かっこんとう)がよく効きますが、胃腸が弱い人や汗が出やすい人には合わないことがあるので、その場合は、柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)をお勧めしています。柴胡桂枝湯は、葛根湯よりも胃腸の風邪によく効きます。白湯に溶かしてゆっくり飲んでみてください。

風邪かもと思ったら、「3つの首(首、足首、手首)」を冷やさないように気をつけましょう。カイロやネットを入れたペットボトルを持って、首やお腹を温めるのも得策です。

ケガ・肌荒れ
紫色が特徴の紫雲膏(写真:筆者提供)

小さな傷や火傷、肌や唇の荒れなどには、紫雲膏(しうんこう)を持っていくのもお勧め。紫雲膏は「漢方のオロナイン」という通称もあり、持っていると便利です。眼球以外であればどこにでも塗れますので、リップクリームや口内炎のほか、皮膚のかゆみにも使うことができます。

最後に旅の不調で知っておくと便利なツボをご紹介しましょう。

松尾芭蕉の『奥の細道』には、「三里に灸すゆるより、松島の月まづ心にかかりて」という一節があります。旅立ちにあたり松島の月を気にかけつつ、足三里のツボに灸をすえた、という内容です。足三里は足腰を強くし、胃腸の調子を整える働きがある万能のツボです。「三里に灸の痕なき者と旅をすることなかれ」ともいわれていたようです。

とくに歩くことが多い旅では、芭蕉に倣い、足三里の灸をしてから出かけることをお勧めします。お灸ができなければ、気持ちよい強さでゆっくり押して刺激するといいでしょう。

膝の外側にある足三里(イラスト:おおしま/PIXTA)
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平地 治美 薬剤師、鍼灸師。 和光鍼灸治療院・漢方薬局代表

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ひらぢ はるみ / Harumi Hiraji

東洋鍼灸専門学校非常勤講師、日本東洋医学会代議員。朝日カルチャーセンター、津田沼カルチャーセンターなどで漢方関連の講座を担当。明治薬科大学薬学部卒業後、漢方薬局勤務を経て、東洋鍼灸専門学校に入学。漢方治療の大家である寺師睦宗氏に漢方を、石原克己氏に鍼灸を、クリシュナU.K氏にアーユルヴェーダ医学を学ぶ。著書に『げきポカ』(ダイヤモンド社)、『舌を見る・動かす・食べるで健康になる』(日貿出版)など。You tube「平地治美・漢方チャンネル」も開設。ブログ「平地治美の漢方ブログ」。

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