「旅先不調にすぐ効く」薬剤師が勧める漢方&ツボ 二日酔い・胃もたれ・眠れないなど症状別に紹介

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五苓散は気圧の変化による体調不良にもよく効きます。

気圧が変動する乗り物といえば、飛行機が挙げられます。

五苓散は飛行機の乗機中に起こる航空中耳炎も防いでくれます。飛行機に乗る度に耳が詰まった感じがして痛むのでつらいという人は、五苓散と小柴胡湯(しょうさいことう)が合わさった柴苓湯(さいれいとう)が有効です。当院に来られた患者さんに、柴苓湯を服用してから飛行機に乗ってもらったところ、症状がまったく出ずにすんだと喜んでいました。

ちなみに、航空中耳炎は耳まわりの血行不良でも悪化しやすいので、機内では温かいおしぼりなどで耳のまわりを温めるのも効果的です。

「飲む前に飲む」お勧め漢方薬

旅行中の飲み過ぎにも五苓散は有効です。

アルコールを飲むと水のバランスが崩れ、二日酔いになるのですが、五苓散を服用しておくと飲酒による喉の渇きが抑えられ、水毒による二日酔いを予防できます。お酒を飲む前がよいですが、忘れたら飲酒後に服用してもかまいません。もちろん、飲み過ぎには気を付けてください。

睡眠

旅行中は「枕が変わると眠れない」という人もいるのではないでしょうか。そうでなくても、深く眠ることで疲れが取れれば、次の日も思う存分楽しむことができるというものです。

そんな眠りの問題に役立つ漢方薬があります。

眠れない理由にはいくつかありますが、不眠のファーストチョイスとして、酸棗仁湯(さんそうにんとう)が挙げられます。酸棗仁湯は西洋薬の睡眠薬のように服用後すぐにグーグー眠れるわけではないのですが、眠りの質がよくなるので、短時間でもスッキリと起きられます。「旅行で疲れているはずなのに、なかなか寝付けない」というときに最適です。

お酒の飲み過ぎで眠れないときには、黄連解毒湯(おうれんげどくとう)をお勧めしています。黄連解毒湯は五苓散とともに二日酔いの予防として使われている処方ですが、飲み過ぎて胃腸に熱がこもって眠れないときにもよく効きます。

食べ過ぎ・便秘・下痢

旅の楽しみの1つは料理。ついつい食べ過ぎてしまう人も多いと思います。このようなことが心配な人は、消化を促す作用のある漢方薬を持っていくといいでしょう。

もともと胃腸が弱い人には安中散(あんちゅうさん)がお勧めです。テレビのコマーシャルなどでお馴染みの「〇〇漢方胃腸薬」は、たいてい安中散がベースになっています。

それほど胃腸が弱いわけではないけれど、食べ過ぎてしまって胃が重だるいという場合は、もう少し強く消化を促す処方、平胃散(へいいさん)が勧められます。また漢方薬ではないのですが、肉類を食べ過ぎたときには山査子(さんざし)のお茶を飲むといいでしょう。

旅先で困ることの1つは、お通じの問題です。

食べ過ぎて便通が悪い場合は、センブリや大黄(だいおう)が入ったお茶や、漢方薬の乙字湯(おつじとう)、大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう)がいいでしょう。大黄は腸管を動かして、便を出してくれます。市販の「●●漢方便秘薬」にも、たいてい大黄が入っています。

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