高湿度・寒暖差が原因「梅雨バテ」治す食材&ツボ 疲労原因、五臓六腑の「肝」を休める養生法

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この時期の体調不良に「梅エキス」を。効能や作り方を解説します(写真:naoki/PIXTA)

梅雨に入り高湿度、寒暖差の大きな日が続いています。そんななかで体調を崩す「梅雨バテ」の方が増えています。

体には体温や体内の水分量などを一定に保とうとする働きがあります。寒暖差が大きくても、体内の環境は一定に保たなくては生命を維持できません。そのために体は想像以上にさまざまな準備をしています。

漢方医学では、寒暖差など大きな環境の変化に対応するためにまず働くのは、五臓(肝、心、脾、肺、腎)のうちの「肝」であると考えます。

漢方でいう肝は、いわゆる肝臓だけではありません。五臓全体の働きが調和できるように監督し、寒暖差などの環境の変化を察知して対応するための最前線で働くのが、肝です。

キレるのは「肝」が疲れている証拠

また、肝には疲労を回復させる働きがあり、ストレスへの対処、感情のコントロールなども行っています。肝がしっかり働かなくなると、感情のコントロールができず、キレやすくなったり、うつ傾向になって何もしたくなくなったりします。

肝の働きを助けるために最も必要なのは休息と適切な栄養です。

肝は、新学期や就職などで新しい環境に対応するためにも働いていました。それだけで十分疲弊しているのですが、そこにきて最近の大きな気候変動に対応しなければならず、かなり無理を強いられています。

そのようなときにいつもと同じように仕事をこなそうとしたり、いつもより無理をして頑張ったりしてしまうと、どんどん肝は働かなくなっていきます。

繰り返しますが、肝を休めるためには十分な休息が必要です。そのために、まずは睡眠時間を十分に確保してほしいと思います。

漢方医学では就寝時間・起床時間は年中同じではなく、日の出に合わせるのが基本で、日が昇る前に起きるのが理想です。現在は朝の5時にはうっすらと明るくなっていますから、10時ごろに就寝して5時ぐらいに起きるのが理想ということになります。

また、医学古典の『黄帝内経(こうていだいけい)』には、「体を横たえれば、血が肝に帰る休息ができる」と書かれています。肝を休めるには横たわってゆっくりするのがいいのです。

ただし夕食後にソファでうたた寝をしてしまうのはよくありません。中途半端な時間に眠ってしまうと、夜の睡眠の質が落ちるからです。どうしても夕食後に眠くなってしまう方は家事などをして、うたた寝をしてしまわないように気をつけましょう。

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